医薬品やキャラクターは誰の物? 特許や知的財産権を巡る駆け引き
キャラクターなどの知的財産は保護されている
ドラえもん、ポケモン、ミッキーマウスなど、たくさんの人気キャラクターは、著作権や商標権など、知的財産権に関する法律によって一定期間保護されています。勝手に関連グッズなどを作って販売すると、訴えられ、多額のお金を払うことになります。また、医薬品や工業製品などの場合には、特許があり、日本では登録から20年間(一部は25年)、製造の権利が守られます。逆に料理のレシピなどは保護されておらず、多くの人がまねをして、おいしい料理を作ることができます。
発明者が利益や権利を独占しすぎても問題
知的財産権に関する法律はなぜあるのでしょうか。大きな理由は経済的なものです。発明にかかる大きなコストを誰が負担し、発生する利益を誰が得るのかが重要です。開発者が利益を得るのは当然ですが、あまり権利を保護しすぎると独占的になり、よい物も普及しなくなってしまいます。例えば医薬品などは、保護することで薬の価格が高くなり、国民が買えないという問題が起こってしまうため、慎重さが求められます。とはいえ、類似製品を作った企業が開発費をほとんどかけずに莫大な利益を上げれば、新規に開発しようという気持ちが鈍ります。どのようにバランスをとれば経済にとってうまくいくのか、非常に難しい問題なのです。
特許は公開されるため、あえて申請しないケースも
特許の内容は公開されるので、技術や材料、環境などを整えれば、誰もが同一あるいは、類似品を作ることができます。実際、ライバル社が参考にして、商品開発をすることもあります。開発した会社はそれを防ぐため、基本となる特許に関連する周辺特許も取得することが多いです。もちろん、特許の出願、申請、維持などには相応の費用がかかります。
逆に絶対に他人はまねできないと自信があるものに関しては、特許を申請せず、コカ・コーラの製法のように秘密にしておくというケースもあります。そういった難しい駆け引きが行われているのです。
参考資料
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拓殖大学 政経学部 教授 丹野 忠晋 先生
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