妊娠・分娩・産褥・新生児のケアを担う「母性看護学」
出産は大きなイベント
女性にとって妊娠・分娩は、心理的にも身体的・社会的にも変化がともないます。特に近年は女性の晩婚化が進み、いろいろな形の家族形態が受容されつつあり、未婚のまま出産をする人や、高度生殖医療などによって子どもを授かる人なども増えています。出産をする本人はもちろん、家族も含めた看護師や助産師による心のケアが注目されています。妊娠することは出発点にすぎません。特に出産後の子育ての期間では、お母さんや家族の思いに沿ったサポートが看護職者には求められます。
お母さんは不安でいっぱい!
出産後のお母さんの悩みは尽きません。赤ちゃんの便が出ない、母乳の量が少ないなど、疑問や不安に答えるのも看護師・助産師の務めです。
母性看護学では女性の思春期から妊娠・分娩・産褥(さんじょく)までの期間、そして生まれて28日目までの新生児のケアも学習します。入院期間中に安心して過ごしてもらうだけでなく、退院後の育児にも不安が生じないよう、学生同士が演習でのロールプレイやシミュレーション、臨床実習などでの学修を通してスキルを身につけていきます。
医療職者全体でケアをする時代
出産する女性のサポートには、その女性に関わる医療職者全体で取り組む姿勢が求められます。病院では外来と病棟の体制の違いから、連携が難しい場合があります。例えば、外来では、妊婦健診で病院を訪れるたびに担当者が違うということもありえます。大切なのは医師や看護師、助産師、さらには薬剤師や医療ソーシャルワーカーなどのコメディカルスタッフ(医療従事者)も含め、カンファレンス(会議)などを通した情報共有を図るなどの真のチーム医療なのです。医療者が決めた治療方針や指示を、患者さんがただ待つことだけが満足のいく医療を受けることにつながるのではなく、看護師や助産師には、患者さんの希望を聞き、意思決定のサポートをしていくという大切な役割もあるのです。「母性看護学」は、新しい命の誕生を見守り・支えるという、とてもやりがいのある看護分野なのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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先生情報 / 大学情報
修文大学 看護学部 看護学科 准教授 那波 潤美 先生
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