インターネットはもう限界? 未来の通信ネットワークを作るために
インターネットは完璧ではない
インターネットは1960年頃に軍事目的で運用が始まり、主に非常時通信のために使われていました。しかし世界中に広まって使用者が増え、21世紀には誰もが動画や画像などのコンテンツをインターネット経由で発信しています。用途や利用者数、やりとりされる情報量が大幅に変わったため、インターネットの設計を根本から見直す必要があります。膨大な情報量を運びきれなかったり、通信障害などで止まったりしてしまう事態も増えました。そこでインターネットに替わる、未来の通信ネットワークを作るための研究が始まりました。
ネットワークの形を見る
「膨大な情報量をやりとりできる」「障害に強く安定している」などの条件を満たす新たなネットワークを構築するためには、現状のインターネットがどのような構造で成り立っているかを分析する必要があります。これを知るために「ネットワークトポロジー」の分析が行われています。通信機器を丸 (ノード)、つながりを線 (リンク) で表して、どの通信機器が何とつながっているのかを図にしたものがネットワークトポロジーです。ただし実社会で使われている大量の通信機器のつながりを図にしても、ひと目では特徴がわかりません。どの部分が重要なのかを明らかにするために、数学的な分析が試みられています。
情報を拡散しやすい条件は?
観点の一つが「次数分布」です。ネットワークトポロジーでは一つの丸から複数の線が出て、その線がまた多数の丸とつながっています。この線の数が次数です。次数分布からは情報の拡散力や影響力を推測可能です。例えばSNSで多くの人とつながっているアカウント、つまりフォロワーの多い人がフェイクニュースを発信すると、大勢がだまされてしまいます。通信機器も次数が高いものは影響力が強く、そこがダウンしたり誤った情報を運んでしまったりすると社会全体が被害を受けます。質のよい情報を早く伝えるためにも、機器同士のつながりや次数の高い通信機器を把握して、対策を講じることが重要です。
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