ペットが長生きになって変化する獣医の仕事
ペットを家族のように考える
犬や猫といった動物を、自分の子どもやきょうだいのように愛する人は多いでしょう。単なるペットと飼い主という関係性を超えて、動物を家族のように接することを「コンパニオンアニマル」と呼びます。こういった考え方は最近当たり前になってきましたが、数十年前はあまり浸透していませんでした。例えば、今でこそ猫は室内で飼うのが当たり前ですが、昔は放し飼いすることも珍しくありませんでした。また、今のように何度も動物病院に通って治療するという人は少なく、一度診察をしたら終わり、という人が大半でした。
医療の進歩で伸びた犬の寿命
かつては「フィラリア」という病が原因で早くに亡くなる犬が多かったのですが、予防薬ができて寿命が伸びました。このように、医療の進歩により、ペットと過ごす時間も増えたことも理由の一つといえるでしょう。コンパニオンアニマルの考えが浸透するに従って、動物病院や獣医師の数も増加しました。
30年ほど前は動物の腫瘍治療や放射線治療のニーズも少なかったですが、ペットの高齢化によりニーズが高まっています。また、ペットの治療や手術は人間の後追いという考え方もあります。人間に対する治療や機械を適用することで、動物にかかる負担をより軽減した治療が行えるのです。
飼い主との話し合いも獣医師の仕事
ペットの高齢化や獣医学の進化にともない、人間と同じような治療を求める飼い主は年々増えています。獣医師の場合、治療する患者はペットですが、治療にあたっての話し合いをする相手は飼い主です。例えば腫瘍ができた犬を治療する場合、腫瘍の状態と犬の健康状態に加え、飼い主が対応可能な通院回数や経済状況など、配慮しなければならないことがたくさんあります。また、同じ家族であっても夫婦で意見が食い違うケースもあります。獣医師の仕事は治療だけでなく、飼い主が納得するように話し合いを重ね、良い結論に着地させることも含まれるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
麻布大学 獣医学部 獣医学科 准教授 圓尾 拓也 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
獣医学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?