「適“糖”生活」のすすめ~過不足のない食生活で健康増進!~
糖尿病と糖質
ご飯やパン、麺類に多く含まれる糖質(炭水化物)は、たんぱく質、脂質とともに三大栄養素と呼ばれ、生命の維持と体の活動を支えるエネルギー源となります。ところが、糖質の摂りすぎが、糖尿病の原因の1つであることが、明らかになっています。
糖尿病とは、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高い状態が続く病気です。食事によって体内に入った糖は、血管を巡って体中の細胞に運ばれます。このとき、糖が多すぎたり、インスリンというホルモンが十分に働かなかったりすると、血液中に余分な糖が残ります。余分な血糖は血管壁を傷つけたり血液をドロドロにしたりして、脳梗塞や心筋梗塞を起こしたり、網膜や手足の神経を傷つけたりします。ですから、糖尿病を予防したり、改善したりするためには、摂取する糖質の量を控えめにしなければいけません。
糖質の控えすぎも大問題
ところが、過度な糖質制限を行うと、「サルコペニア」という状態に陥る危険が出てきます。サルコペニアとは、筋肉量が減少し、身体機能が衰える病気です。筋肉の原料はたんぱく質ですが、いくらたんぱく質を摂っても、糖質がなければ代謝が行われず、たんぱく質は筋肉になることができません。摂取カロリーが少なければ筋肉を分解して糖を作ろうとし、筋肉が減ってしまいます。十分な量の糖質を摂らずに、一生懸命にリハビリテーションを行った高齢者が、サルコペニアになってしまった例もあります。
「適“糖”生活」が大切
糖質は、多すぎず少なすぎず、適切な量を摂ることが重要です。また、いろいろな食品と組み合わせて食べることで、血糖が多くなりすぎないようにコントロールすることができます。糖質の量と質、摂り方を適正にすることが「適“糖”生活」です。その具体的な中身は、人によって違うため、栄養士は、食べ物と栄養素についての学問である栄養学を駆使して、一人ひとりの状態に合わせた食事を考えます。人々の健康を、食べ物を通して維持し増進させるのが、栄養学の役割なのです。
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先生情報 / 大学情報
駒沢女子大学 人間健康学部 健康栄養学科 教授 西村 一弘 先生
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