臨床栄養学~在宅医療の在宅訪問栄養食事指導について~
通院困難な在宅患者の食に寄り添う
病院に通院できる患者さんは、病院の外来に通院します。一方、病院に通院困難な場合は、患者さん宅で治療・療養する在宅医療があります。在宅医療は医師、看護師、リハビリテーション、歯科、そして管理栄養士が多職種と連携しながら患者さん宅を訪問します。在宅患者さんは様々な疾患を抱え、家族構成は老々介護や独居が多いです。管理栄養士は在宅患者さんに寄り添い、適切な食形態で、安全に食べることが出来るよう食支援を行っています。
終末期でも食と栄養が大切
在宅患者さんは終末期の方も含まれます。終末期になると飲み込みが悪くなったり、食欲不振になったりします。管理栄養士は終末期の在宅患者さんのお宅で、安全に飲み込める食形態を、老々介護でも簡単に作れるよう、ご家族に調理指導をします。介護をする家族の食に関する悩みや相談に応じ、家族の悩みを改善します。食事は嗜好に合わせ、飲み込みやすく工夫したりすることで、患者さんが安心して食べられるようになります。終末期には嗜好や味覚の低下も起こるので、多職種で連携して、美味しく食べられる工夫を行います。
食を通じて家族の思いに応える
同居していても離れて暮らしていても、患者を見守る家族の思いは、いろいろな食形態を専門家に提案してもらい、わが家で亡くなっていく大切な家族に、少しでも美味しく食べてほしい、というのが本音です。終末期の在宅医療における管理栄養士の役割は、その「思い」に対する食支援をするものだとも言えます。日本では高齢者の半数が、在宅で最期を迎えたいと考えているという近年のデータがあります。「おばあちゃんが最後に口にしたのは、一番の好物だったね」と言えるような看取りの日々に、管理栄養士が寄り添っていくのです。
臨床栄養学の中では、外来栄養食事指導、入院時栄養食事指導が主流ですが、在宅で亡くなることを希望する方が増えているので、在宅医療は今後ますますニーズが高まり、管理栄養士の在宅訪問栄養食事指導のニーズも高くなっています。
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先生情報 / 大学情報
名寄市立大学 保健福祉学部 栄養学科 准教授 中村 育子 先生
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先生への質問
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