たんぱく質だけじゃダメ! アスリートをサポートする栄養学
栄養に対する誤解と知識不足
スポーツ選手にとって、食事がとても大切であることは広く知られていますが、まだまだ誤解されている部分があります。そのひとつが、「とにかくたんぱく質を摂って、糖質は避けるべき」という思い込みです。もちろんたんぱく質は大事なのですが、それだけでは足りません。アスリートの食生活を調査すると、必要な栄養素が不足している場合があります。なぜそうなるのかといえば、選手自身に栄養に関する知識が足りないためです。スポーツ栄養学の研究は、スポーツ選手を栄養の面でサポートすることを目的としていますが、そこには選手自身に栄養を意識してもらうことも含まれています。
糖質もきちんと摂ることで筋肉がつく
実は、摂取したたんぱく質をしっかり筋肉に変えるためには、併せて糖質も摂ることが重要だということがわかっています。スポーツ選手は、3食の食事以外に、足りない栄養素を補うための「補食」を摂る場合があります。例えば、練習前後におにぎりを食べる、といったことです。おにぎりは糖質が中心ですが、補食として糖質を摂ることで、筋肉量が増える、練習を継続できるようになる、けがをしにくくなる、などの研究結果も報告されています。「糖質はダメ」ではなく、量やタイミングを考えて摂取することが肝心なのです。
選手一人ひとりへのサポート
選手をサポートするには、まずは選手のことを知らなければなりません。選手によって、考え方やめざす目標、食事の好みなどは違うものです。つまり、選手一人ひとり、サポートの取り組み方も違ってくるわけです。サポートをするということは、選手といかにコミュニケーションを取れるか、ということも大きく関わってきます。
スポーツ栄養学とは、スポーツ選手を対象にする学問というイメージがあるかもしれませんが、その基本的な考え方は、トップアスリートだけでなく、子どもからお年寄りまで、「活動をしている人すべて」の健康維持・増進に役立つものです。
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先生情報 / 大学情報
東海学園大学 健康栄養学部 健康栄養学科 准教授 高柳 尚貴 先生
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