企業の境界が変わる? M&Aが生む効果とは
M&Aは「合併と買収」
新聞やテレビを見ていると、よく知っている企業が別の企業と合併する、あるいは大きな企業が別の企業を買収するというニュースを目にすることがあります。2つ以上の企業が合併して1つに統合されたり、ある企業がほかの企業を買収したりすることをM&A(Mergers and Acquisitions:合併と買収)と呼びます。
何のためにM&Aを行うのか?
M&Aは成功する場合もあれば、うまくいかない場合もあります。一般的には、M&A後のある時点でその企業の財務データの数値が上昇していれば成功、下降していれば失敗とみなされる傾向があります。しかし、1+1が2より大きなシナジー効果を生むことが期待されるM&Aの意味は、必ずしもM&A後すぐに表れる、あるいは数字で表れるという場合ばかりではないでしょう。
例えば、異なる得意分野を持つ2社がM&Aを行うと、市場において幅広い分野を1社でカバーできるようになるというメリットがあります。また、それぞれの得意分野でのノウハウを相互に活用することで、新しい製品やサービスの開発につながり、新たな市場に参入する可能性も広がります。しかし、そうしたメリットを得るプロセスではさまざまな調整コストがかかるため、並行してコストをできるだけ抑える必要があります。
企業がよりよい形で成長するために
ここで挙げた例は技術の獲得や研究開発力の強化をめざしたものですが、M&Aは業務効率の向上、既存事業の補完など、多様な目的で実施されます。「こうすれば成功する」といったパターンはないからこそ、企業は目的を定め、M&Aの相手となるパートナー企業と協働し、その企業が思い描く目標の達成につなげていく必要があります。準備の段階から時間をかけてパートナー企業の資源をうまく活用したり、自社の資源と統合させるなど、企業を成長させていくための選択肢の1つがM&Aなのです。
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先生情報 / 大学情報
実践女子大学 人間社会学部 現代ビジネス学科 教授 篠﨑 香織 先生
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