普段何気なく使っている薬にもさまざまな工夫が施されている?
ジェネリック薬にもそれぞれ特性がある
薬局で薬を処方してもらうとき、薬剤師からジェネリック医薬品(後発医薬品)にしますかと尋ねられることがあります。多くの人は先発医薬品と薬効を示す主成分が同じなら、価格の安いジェネリック医薬品の方がよいと思って選んでいるでしょう。しかし主成分が同じでも、それぞれの薬剤には異なる特性があります。大半の薬剤には、主成分のほかに薬の安定性を高めたり、主成分の放出具合を調節したりするため、さまざまな添加物が加えられているからです。これらは薬がより効果的に作用するよう、製薬会社が工夫を凝らした結果と言えます。
主成分や添加物の分布に違いが
例えば外用薬の軟こうは、ワセリンといった基剤に、ステロイドなどの主成分が結晶の状態でちりばめられています。主成分の結晶は少しずつ溶けて、皮膚から浸透するため、製剤の中にはそれが効率よく行われるように、結晶を溶かしやすくする添加物を加えたものがあるのです。普段、何気なく使っている軟こうでも、主成分や添加物がどのように分布しているかなどで違いがあるので、このような特性を把握していなければ、患者さんに最適な薬を処方できない恐れがあります。
薬の工夫や研究は尽きない
調剤薬局の現場では処方箋通りに薬を出しているものの、薬剤ごとの特性までは把握できていないのが現状です。また、調剤や保管の方法によって主成分が変質し、本来の薬効が発揮されないケースがあることもわかってきました。そのため、科学的かつ客観的に薬剤を分析し、より正しい情報を薬剤師や患者さんに提供するための研究が進められています。
薬学は幅広い分野を取り扱う学問で、ほかにもさまざまな研究対象があります。後発薬であっても、より患者さんに優しい薬にするにはどうすればよいかなど、工夫は尽きることがありません。薬学は人の生命と健康を支える薬を研究するという意味で、とても奥深い学問なのです。
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先生情報 / 大学情報
帝京平成大学 薬学部 薬学科 教授 山本 佳久 先生
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