現場の課題に、データで応える手術室薬剤師

特別な医療現場、手術室での薬の使われ方
病院で薬を使用する場合、通常は医師が処方箋を作成し、薬剤師が監査・調剤し、看護師が確認して投与します。しかし、処方箋の発行や薬剤師の監査・調剤を経ずに薬が使われる特別な場所があります。それが手術室です。緊急対応が求められる手術では、医師が処方箋なしでその場で薬を選び、投与することがあります。また、看護師に口頭で薬の指示を出すこともあります。命に関わる薬を用いる場面でありながら、迅速で適切な判断が求められるため、医療の質と安全を確保するために、医師には大きな負担がかかっています。こうした背景から近年、薬剤師が手術室に常駐し、薬剤の一元管理や適正使用の支援を通じて、安全な薬物療法をサポートする取り組みが広がっています。
点滴漏れによる皮膚トラブル予防の研究
薬を安全に、そして使いやすくすることも、薬剤師の大切な役割です。例えば、手術中の点滴では、薬液が血管の外に漏れ、皮膚の細胞が炎症や壊死を起こすケースがあります。患者さんに意識がある場合は、点滴が漏れると痛みを訴えますし、点滴の流れが悪くなるため、周囲も気づきやすいです。しかし手術中は患者さんの意識がなく、体も手術用の布で覆われているため、点滴の状態を確認しにくいのが現状です。そこで、薬の酸性・アルカリ性、浸透圧、成分などの特性に基づいて、どの薬が特に注意を要するのかが分類され、適切な注意喚起や早期発見に役立てられています。このような実験や調査も、薬の安全使用を支える薬剤師の重要な役割です。
薬の不安や問題点を解決する薬剤師
調査により、薬剤師が手術室に介入することで、薬の適正使用が進み、事故の減少やコスト削減につながることが示されています。また、薬剤師は治療効果や安全性を高めるために、医師へ薬の提案することもできます。これも薬剤師ならではの専門性を生かした強みです。薬剤師は、医療現場での薬の選択や使用に伴うさまざまな課題に取り組み、それを解決へ導く重要な役割を担っています。
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