講義No.10460 薬学

病気をとらえる「病態学」から、薬を作る「薬剤学」まで

病気をとらえる「病態学」から、薬を作る「薬剤学」まで

薬学に関わるさまざまな分野

「薬学」という分野は、幅広い領域をカバーしていて、生物だけでなく、化学、物理、そして数学も関係しています。生物から発展する分野としては、解剖学、生理学、生化学、衛生学などが挙げられ、これらの学問を基(もと)に、「病態学」という分野が成り立っています。「病態学」とは、人間の病気の状態を把握する学問と言えます。病気のメカニズムを理解した上で、具体的な症状からどの病気のどの病期にあたるかを判断していくので、その後の治療方針を決める基となります。治療になると、病態学の知識に加え、身体に対する薬の作用に関する「薬理学」の知識や、薬の剤型に関する「製剤学」と、薬が体内に入ってからの挙動に関する「薬物動態学」から成る「薬剤学」の知識など、これら全ての分野の知識を総合的に理解し、駆使していくことになります。
薬学を修めると、このように幅広い、オールマイティな知識を駆使することが出来るようになります。

薬を必要とする場所まで届ける方法

例えば、次世代型バイオ医薬品として注目を集めている「核酸医薬」は、核酸分子が細胞の中で、病気に関わる遺伝子の発現を抑制することで効果を発揮する薬です。現在、注射薬として市場に登場していますが、錠剤や粉薬のような経口の(口から飲める)薬剤はまだ存在していません。もし、安価な経口薬が開発できれば、患者様にとって自宅療養が可能になり、QOL(Quality of Life:生活の質)の向上につながるケースも多いです。また副作用の軽減のためにも、標的とする細胞にいかに上手に薬を届けるか、ということも重要なポイントです。
このように、「病態学」を基に薬の開発を行い、「薬剤学」を基に製剤学的なさまざまな工夫を行って、社会のニーズに合った薬を生み出すには、薬学の幅広い知識が大きな手助けとなります。

医療の中の薬学の重要性

医療現場における「チーム医療」や「在宅・地域医療」で、「くすりのエキスパート」としての薬剤師の役割が求められ、その重要性は増してきています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

城西大学 薬学部 薬学科 教授 渡辺 知恵 先生

城西大学 薬学部 薬学科 教授 渡辺 知恵 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

薬学、免疫学、薬剤学

メッセージ

薬学を学ぶと、薬剤師だけでなく、製薬会社の研究員や行政機関の職員など、活躍の場は幅広くあります。勉強したことが直接人の役に立ちますし、新型コロナウイルスの問題でもわかる通り、場合によっては全世界を救うことにもつながります。社会に貢献できるということは、人生のやりがいになりますし、一生、知的好奇心を刺激される学問でもあります。
どの分野、どの業種に進んでもいいので、「くすりのエキスパート」になりたいと考える人が1人でも増えてほしい、というのが私の願いです。あなたもチャレンジしてみませんか?

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

城西大学に関心を持ったあなたは

城西大学は、文系・理系・医歯薬系の5学部8学科で構成された「国際性」・「専門性」を学べる総合大学です。
建学の精神「学問による人間形成」に基づき、「社会が発展するために必要とされる人材を育成することによって、人類の福祉に貢献すること」を大学の理念として発展してきました。この理念は今も受け継がれ、広い知識と深い専門性を学ぶことを通して、国際社会で活躍できる「真のグローバル人材」を育成します。城西大学は、頑張るキミを応援します!