高度な医療を支える機器のスペシャリスト、命のエンジニア
臨床工学技士とは
新型コロナウイルスの感染者、中でも重症者を受け入れた病院では、呼吸機能が著しく低下した患者の呼吸を助けるECMO(エクモ:体外式膜型人工肺)という機械が活躍します。このように現在の医療現場では、さまざまな高度医療機器が導入・活用されています。その運用を担うのが、「臨床工学技士」という国家資格を持つ人材です。こうした機器類をただ「使える」だけでなく、医療とテクノロジーの両面に通じ、機器がどのような仕組みで動き、患者の生命維持を助けているのかを理解する必要があります。高度医療の現場において、「命のエンジニア」として、昨今重視される「チーム医療」の一翼を担う存在でもあります。
患者の負担を軽減するために
臨床工学技士はもちろん、医療現場で働くさまざまな人々にとっての重要な関心事として挙げられるのが、「非侵襲的な検査・治療を行うこと」です。非侵襲的とは「患者を傷つけない」「いかに患者への身体的・精神的な負担・負荷を軽減するか」という意味です。なんら痛みを感じなくても、放射線による被ばくリスクのある機器が使われるときは、患者はさまざまな負担を強いられます。これらをハードウェアとソフトウェアを組み合わせたIT(情報技術)の力で減らせないか、といった取り組みも進められています。
医療機器のスペシャリストとして
また、これまで看護師などが患者に直接触れながら行ってきた行為を接触しない方法に置き換えるのは、看護師の負担軽減の有効な手段の一つです。コロナ禍で普及が加速した、赤外線により瞬時に体温を測るシステムなどはその好例と言えるでしょう。
臨床現場で勤務しながら、より高度な専門知識を身につけようと大学院で学ぶ臨床工学技士も増えています。臨床工学技士が機器のスペシャリストとして、医師や大学研究者、医療機器メーカーなどと連携することで、より高機能かつ患者に優しい機器が生み出されていくことへの期待もあるのです。
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先生情報 / 大学情報
帝京平成大学 健康メディカル学部 医療科学科 臨床工学コース 准教授 松﨑 晴康 先生
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