歌手の喉は投手の肘? 声楽とスポーツの意外な共通点とは
音楽の知識や語学力も問われる声楽
読んで字のごとく、発声や歌唱を学び、表現するための学問が声楽です。歌手として大成するためには、声の質や歌唱の技術力だけでなく、ピアノをはじめとする音楽の知識、海外の楽曲を歌うための語学力や発音に関する知識も非常に重要です。声楽というと「上品」「高貴」というイメージを思い浮かべる人も多いでしょう。繊細な表現も求められる声楽の世界ですが、一方でスポーツとの意外な共通点もあるのです。
投手の肘同様、喉の酷使には要注意
歌手の喉(のど)は、野球の投手の肘(ひじ)や肩に例えることができます。学生時代から投げ込み過ぎた投手がプロになった後、肘や肩を壊すケースをニュースなどで目にしたことがあるでしょう。声楽の世界でも同様で、歌手になりたいからといって、歌えば歌っただけよいかというと、必ずしもそうではありません。喉を酷使することで声帯を傷め、将来トラブルを引き起こす原因になり得ます。
投手が数日の間隔をあけて登板するのと同じように、しっかり喉を休めることもトレーニングのひとつです。その半面、喉の筋肉を鍛えることも重要です。最近では騒音の問題で大声を出せない保育園なども出てきていますが、成長過程の中で大きな声を出すことは喉の筋力をつけるために必須です。喉を鍛えつつ、酷使しすぎない、そのバランス感覚やコンディショニングは、歌の研鑽を積む上で欠かせません。
舞台は団体戦~協調する中で個性を出す~
また、スポーツだけでなく社会生活の中でも欠かせない「協調性」も、声楽で求められる資質です。例えばオペラは、台本に基づいて、皆で1つの舞台をつくり上げるものです。演出家や指揮者を中心に、チームとして何をどう観客に伝えるかが最優先される中で、必要とされるのは協調性です。決してスタンドプレーにならず、チームの一員として求められる役割を全うする中で個性を出す必要があります。そのためには、求められていることが何かを見抜く目や聞き分ける耳も大事なのです。
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先生情報 / 大学情報
宮城学院女子大学 学芸学部 音楽科 教授 井坂 惠 先生
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