産業の現場で起こるヒューマンエラーの解決を、心理学から考える

産業の現場で起こるヒューマンエラーの解決を、心理学から考える

人間のミスは避けられない

産業の現場では、働く人がどんなに苦労しても、どんなに工夫しても、人間のミス(ヒューマンエラー)による事故は少なからず発生します。例えば原子力発電所では、ひとたび事故が起きたときの影響は大きく、安全に対する世間の厳しい目もあるため、緊急対策訓練や防災訓練を徹底するなど、もしもの事故に備えた体制が強化されています。相当なプレッシャーの中で働く職員のミスをどう防ぐか、そのためにはどんな教育が必要なのか、そもそもなぜ人間はミスをしてしまうのか、新しい視点から問題点を考察することが必要です。

ミスの背景にある現場の問題

2001年、日本上空において日航機同士がニアミス(異常接近)するという事故が起きました。管制官が便名を呼び間違えたことが原因です。衝突回避のため急降下した機内ではけが人も発生し、管制官は業務上過失傷害罪に問われ、職も失いました。ミスをした個人の責任を問うことは当然ですが、それだけでは根本的な解決にはなりません。
その背景に潜む問題点を探るため現場に入ってみると、刻々と状況が変わる中で対応を迫られる管制官の業務内容は、とてもシビアだということがわかります。スムーズに運営するための対応策はいくつも講じられていますが、さらなる安全のため、どのような環境や条件がミスにつながるのか、心理学の立場から研究し、現場で実践する取り組みも進んでいます。

情報を得るには「心の目」も必要

人は目で「視て」情報を得ることができます。しかし意識がほかのことに集中していると、「視て」いるはずなのにまったく情報が入ってこなくなります。例えば友だちと顔を見合わせているのに、隣席の話が気になって会話が成り立たない、という経験があるでしょう。視覚も、心の目も向いていないと、「視れども見えず」という状態になるのです。
心理学的に実証されているこうした現象も、人間の行動に影響を与えており、ヒューマンエラーの一因と考えられています。

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宮城学院女子大学 学芸学部 心理行動科学科 教授 大橋 智樹 先生

宮城学院女子大学 学芸学部 心理行動科学科 教授 大橋 智樹 先生

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産業心理学

メッセージ

できるかできないかを考える前に、まずは行動してみましょう。つらいこと、例えば大学受験のための勉強も含めて、高校生のときにしかできないことを徹底してやってみましょう。高校生という今を存分に楽しみながら、さまざまな場所でたくさんのことを経験してください。
目の前にあるいろいろなチャンスを貪欲に生かしたら、その先にきっと何かがあるはずです。自分にはできないから……と諦めずに、とにかく動いてみることが大事です。あなたの挑戦を大学はフォローします。

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1886年(明治19年)、日本の近代化にあたり教育を自らの手で推し進めようと、「自由と愛」をうたうキリスト教に基づいて誕生した女学校、宮城学院。
そのキリスト教精神、進取・自主の精神は今も変わらずに受け継がれ、学生たちは研究活動、海外交流、イベント、クラブ・サークルなど、積極的なキャンパスライフの中で自立した女性の成長を実現させています。
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