音楽療法 「生きる」を音楽でサポート
音楽療法とは
リズムに体が動いてしまう、メロディーに感情が動かされる、懐かしい歌に当時を思い出し、音楽で一体感を感じ、歌に勇気づけられ生きる支えになるなど、音楽はさまざまな働きをもっています。音楽療法を受けられる方は、病気や障がいを持つ方だけでなく、一見健康的に見える方であっても“セラピーを必要とする方”がその対象者です。音楽の働きを利用して、人が本来持っている「生きようとする力」を引き出し、支え、人生の質を高めることをサポートするのが音楽療法士の仕事です。
音楽でその人らしさを大切にし、生きる力を高める
事故の後遺症で、ある程度の回復は見込めてもこれまでと全く同じ生活ができなくなってしまった人をどのようにサポートできるでしょうか。生まれもった障がいや不治の病を音楽で治すことはできるでしょうか。音楽療法は魔法ではありません。今ここから「どのように生きるのか」を、音楽体験を通して一緒に考えていきます。言葉でうまく表現できないことは音楽体験の中、音の質や曲調、創られた歌の歌詞などに表れるでしょう。ある方は、今まで行ったことのなかった作曲活動という過程を通じて、自身の「まだできる」ことに気づかれたりもします。今ここにいる自分に気づき、受け入れていかれます。それによって、社会の中で今を生きる力が強まるようサポートするのです。
家族のサポートも音楽で
余命宣告を受け「死」という現実に直面する方には、最期までその人らしく「生」きられるよう支えます。エンド・オブ・ライフケアといい、音楽で体・心・精神などの総合的な痛みを緩和し、最期まで生き抜くためのケアです。家族もケアの対象となります。悔いのない看取りによる家族の心のケアも大切です。患者と家族とで言葉のコミュニケーションが困難なときこそ、音楽体験によって気づけなかったことに気づき、感情を表現し、言語化するなどのサポートも行います。患者と家族の生きている意味や価値を見出す支援を、音楽によってできる方法で行います。
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先生情報 / 大学情報
同志社女子大学 学芸学部 音楽学科 准教授 北脇 歩 先生
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