講義No.11201 音楽 教育

楽しく歌って「伝える力」を身につけよう!

楽しく歌って「伝える力」を身につけよう!

声楽家は声質を使い分けて表現している

人の声には5つの要素、➀大小、➁高低、③スピード、④間合い、➄声質があり、それを使い分けて話したり歌ったりしています。歌う場合、➀~④まではすべて楽譜に書いてあり、その指示に従います。唯一、差別化できるのが➄の声質です。声楽家は舞台パフォーマンスにおいて、楽譜通り上手に歌うことはもちろん、詩に描かれた意味を正確に理解したうえで、表情や動きとともに声質を変え、喜怒哀楽を演じ分けています。また、第一印象が良くなるよう、美しく見える立ち姿を習得するなど、「伝える」ための表現力を身につけています。

声楽の表現力はプレゼン力に通じる

声楽の表現力は、社会に出た時に必要なコミュニケーション能力やマナーの向上にも役立つと考えられています。相手に提案し行動を促すプレゼンテーションは、伝え方が問われます。第一印象を左右する態度や姿勢、提案する時の表情や話し方は、プレゼンの成否に関わる重要な要素ですが、それぞれに苦手意識を持っている人は少なくありません。声楽家が身につけている表現力は、プレゼンのみならず社会ニーズへの柔軟な対応力になり得ることから、声楽や音楽の学びを通してミュージカルの舞台は勿論、表現力を身につける取り組みも始まっています。

大切なのは楽しく学ぶこと

「エデュテインメント」という言葉があります。エデュケーション(教育)とエンターテインメント(娯楽)を合わせた、「楽しみながら学ぶ」を意味する造語です。このエデュテインメントを、学校教育に取り入れる試みが進んでいます。就学前の子どもは、自由に歌ったり踊ったりすることになんの抵抗もないのに、学校で音楽という授業になり、教科書通りの表現を求められると、歌うことが嫌いになることがあります。しかし、声を出して歌うことは表現力を身につけるうえで不可欠なことです。楽しく歌うことでいつの間にか表現力を身につけられるよう、エデュテインメントを授業に効果的に取り入れる方法が注目されているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

フェリス女学院大学 音楽学部 音楽芸術学科 教授 土屋 広次郎 先生

フェリス女学院大学 音楽学部 音楽芸術学科 教授 土屋 広次郎 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

音楽、音楽教育学、コミュニケーション学

先生が目指すSDGs

メッセージ

かつて私のもとに元オリンピック選手が「私はすべてやり尽くしました、歌うこと以外は。」とレッスンを受けに来ました。その人は音痴でしたが、3年間、根気よく練習を続け音痴を克服し、「マイウェイ」を歌えるようになったのです。歌は、あなたが変わるきっかけにもなると思います。
閉塞感を覚える混沌とした時代の中、迷うこともたくさんあるでしょう。こんなときこそ、おなかの底から声を出して歌いましょう。考えるのは「てげてげ(ほどほど)」にして、「アー」と声を出すだけで何かが変わり、気持ちが楽になるかもしれません。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

フェリス女学院大学に関心を持ったあなたは

フェリス女学院大学は、1870年に日本初のキリスト教系女子教育機関として誕生して以来、
「For Others」をモットーに自立した女性を育成することを目的として教育を続けてきました。
主体性を伸ばす少人数教育やきめ細やかな学習サポート、豊富な海外留学制度や個人相談を重視した就職サポートなど、学生の意欲と質を高める制度も充実しています。
創立者メアリー・E・キダーは、明治期に女子教育を行うという目標に果敢に取り組みました。フェリス女学院大学で、あなたらしい目標を探してチャレンジしてみませんか?