解剖学あっての鍼灸学 ~2つの学問の密接な関係とは?~
鍼灸師に不可欠の解剖学
視覚障がい者が取得しやすい医療関係の資格としては、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師などが知られています。鍼灸(しんきゅう)師などの職業につくためには、解剖学の知識が不可欠です。解剖学とは、人間の体の構造や機能について研究する学問だからです。筋肉は骨のどの部分につながっているのか、関節がどういう仕組みになっているのか、筋肉の形はどのようなものか、などということを把握していないと、マッサージや鍼灸の適切な施術ができません。
人体の見えない構造を把握する
鍼灸において人体に直接アプローチできるのは、外からさわれる場所の筋肉が主です。骨盤の内側の筋肉などに関しては、外からさわって診断することができません。しかし、筋肉の3次元的な構造をきちんと理解できていれば、ここに鍼を打つ(刺す)とどこに到達するか正確に把握できます。
また、消化管など内臓の機能と構造を理解することで、疾病についても正しく知ることができます。そうすれば、疾病に対する体の症状を治療することも容易になります。
鍼灸はこれから解明されていく学問
鍼灸という手法は、遠い昔から多くの先人の経験に基づいて体系づけられてきたものです。そうした経緯から、かつては正当な学問分野として確立してはいませんでした。しかし現在は、鍼を打つとその部位にどのような変化があるのか、疾病の改善や予防にどのような効果があるのか、という関連性を科学的なエビデンス(根拠)に基づいて分析する研究が進んでいます。
鍼灸の効果については、まだまだわかっていないことが数多くありますが、今後、科学的な裏付けに基づいてさまざまなことがわかってくる新しい領域として期待されています。また、あんま・マッサージ・指圧などの手技療法について、科学的に効果を裏付けるような研究により学問的価値を高めていこうという動きも、少しずつ出てきています。
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先生情報 / 大学情報
筑波技術大学 保健科学部 保健学科 鍼灸学専攻 教授 加藤 一夫 先生
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