障がい者スポーツは、障がいがなくても参加できる!
障がい者スポーツのいろいろ
「障がい者スポーツ」には、障がいの種類や程度に応じて、さまざまな種目があります。例えば、車いすバスケットボールのように、敵味方が激しい攻防を見せるハードなスポーツもあります。一方で、視覚障がい者のスポーツでは、ブラインドサッカーのように敵味方が入り乱れる競技は珍しく、バレーボールや卓球のようにコートが分かれていて、相手との接触のない競技が多く見られます。また、視覚障がいと言っても、見え方(例えば、全盲と弱視)によって、視覚から入手できる情報が大きく異なるので、それぞれに合わせたルールや用具の工夫が必要となります。
視覚障がい者のためのさまざまなルール
視覚障がい者のためのフロアバレーボールやサウンドテーブルテニスなどは、通常のバレーボールや卓球と違って、ボールを床や台の上で転がしてプレーします。視覚障がい者の球技では、ボールに鈴を入れ、その音でボールの位置や動きを把握することが多いのですが、ボールが空中にあると音が消えてしまい、音情報をとらえにくくなります。そのため、ボールが平面を転がるよう2次元でプレーを展開し、音が連続して聞こえるように工夫しているのです。
ただし、ブラインドテニスのように、ボールが空中を飛ぶ種目もあります。この場合、音の出るボールを使い、さらに3バウンド以内で返球するというルールにすることで、音の情報を得やすくしています。
誰もが参加できるスポーツのあり方
「障がい者スポーツ」は障がい者がするものとは限りません。健常者が選手やサポーターとして参加できる種目もありますし、アイマスクをして視覚障がい者と一緒にプレーすることも可能です。また、健常者同士で楽しむこともできます。
近年では、参加者の状況に合わせてルールや用具を工夫する、という理念のもと、障がい者はもちろん、高齢者や体力が低い人など幅広い人たちが参加できるスポーツの名称として、「適合する」という意味の英語を用いた「アダプテッド・スポーツ」という言葉が使われるようになってきました。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター 准教授 天野 和彦 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
障がい者スポーツ学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?