こりをほぐすだけじゃない、鍼灸の不思議な効用とは?
「なんとなく……」の症状に効果を発揮
鍼灸(しんきゅう)という言葉は聞いたことがあっても、「肩こりや腰の痛みに鍼(はり)やお灸がきく」と知っている程度の人が多いでしょう。実は鍼灸は、筋肉や関節の痛みだけでなく、呼吸器、消化器、不眠や食欲不振、便通の悩みまで、あらゆる体の不調に効果があります。
一般的な病院で施される投薬や手術などの治療を「西洋医学」と呼び、鍼灸や漢方薬などによる治療を「東洋医学」と呼んで区別しています。例えば、「なんとなく体がだるい」といって病院を訪れる人がいますが、検査をしても異常がなく、原因を特定できないというケースも多くあります。このような症状には、「体全体の調子を整える」ことを目的とした東洋医学が向いており、その治療効果が注目を集めるようになってきました。
鍼灸を解明しよう!
実は、鍼やお灸でツボを刺激するという行為が、どういうメカニズムによって効果をもたらすのかに関しては、まだわかっていないことが多くあります。鍼灸は中国で数千年前から実践されてきた経験が積み重なり、体系づけられた治療法で、経験的に効果があることはわかっていますが、その健康への効果が最新の科学によって裏付けられ始めています。
世界中に広がる鍼灸
鍼灸による治療は、投薬治療などと比べて緩やかに効いてくるマイルドな治療法であるため、患者の体への負担が少なく副作用が出にくい、などのメリットがあります。こうしたメリットが世界的にも注目を集め、現在では多くの国や地域で、鍼灸が使われていますが、医療の制度として整備されている国はまだ少なく、これからますます普及する可能性がある分野です。鍼灸は、道具がシンプルなので、手軽で低コストな治療であり、お灸に関しては自分で行う「セルフケア」も可能です。こうした面でも開発途上国での応用も期待されているのです。
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先生情報 / 大学情報
筑波技術大学 保健科学部 保健学科 鍼灸学専攻 教授 石崎 直人 先生
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