話す、聞く、理解する 子どもの言語の発達を研究する言語発達障害学

話す、聞く、理解する 子どもの言語の発達を研究する言語発達障害学

言語聴覚療法学とは?

リハビリテーション領域に分類される言語聴覚療法学は、実に多岐にわたった研究分野です。解剖学や生理学といった医療分野はもちろん、言葉を扱う上で欠かせない言語学や音声学、聴覚器官を取り扱う耳鼻咽喉学のほか、食べる・飲むといった行為に関係する口腔外科学や歯学についても学ばなければなりません。また、人と接することが前提となるため、認知心理学や臨床心理学の視点も求められるなど、「借り物の学問」と呼ばれるほど多様な分野の素養が求められる学問です。

子どもの言葉の発達を研究する

言語聴覚療法学の中に、子どもの言語発達を対象とする言語発達障害学という分野があります。言語発達の遅れには、言葉がなかなか覚えられない、正しく発音することができない、相手の意図を推測して理解することができない、文字をスラスラと読んだり書いたりすることができないなど、さまざまなケースがあり、原因も多様に考えられます。また、当事者である子どもは、自分の気持ちや症状をうまく言葉で表現することが難しい、というケースも少なくありません。それぞれの原因を明らかにし、専門的なケアを行うことと、子どもの良き理解者、代弁者となるために、学び考える学問が、言語発達障害学なのです。

残された研究課題

子どもの言語発達の遅れは、保護者の教育や本人の努力不足が原因だとされた時代がありました。科学の発展や言語発達障害学が確立することで、それらは専門的なケアを必要とする障がいであることが認知されてきました。
一方、これらは人間の脳の働きに深く関わる学問であり、研究課題も多く残されています。例えば、言葉の聞きとりに関わる脳の部位は特定されてきましたが、その部位がどう関係し、なぜ聞こえたのに理解ができないのかといった具体的な問題の原因はまだわかっていません。日本では言語の発達をはじめ、地域の小学校でも専門的なサポートを必要とする子どもが全体の6.5%いるとされており、教育現場を中心に、言語発達障害学のさらなる発展が望まれています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

大阪河﨑リハビリテーション大学 リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 言語聴覚学専攻 准教授 髙橋 泰子 先生

大阪河﨑リハビリテーション大学 リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 言語聴覚学専攻 准教授 髙橋 泰子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

言語発達障害学、言語聴覚学

先生が目指すSDGs

メッセージ

医療や教育などさまざまな場所で活躍する言語聴覚士は、コミュニケーションが苦手な人やうまくできなくなった人をサポートすることが求められています。しかし、まだ人手が足りません。
高校時代、同級生だけでなく、年齢や職業、考え方の違う人と話をしてみてください。その際、自分だけが話すのではなく、相手から話を聞き出すことを意識してみましょう。また、本を読んだり、いろいろな場所へ行ったり、ボランティア活動をしたり、さまざまなことに関心を向け、体験することで自分を磨いてください。そんなあなたを現場は待っています!

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大阪河﨑リハビリテーション大学に関心を持ったあなたは

大阪河﨑リハビリテーション大学はその名のごとく、リハビリテーション分野のスペシャリストを養成しています。
リハビリテーションに特化し、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3職種が学べる数少ない大学です。また、特色としてチーム医療を理解し実践する為の「IPE(多職種連携教育)」や海外の大学と国際交流協定を締結しているので、「国際交流・短期留学」が可能です。
本学の教員は医療現場の第一線で活躍する者も多く、培ってきた技術や専門知識を活かし、教科書だけでは得ることのできない高い技術指導を行っています。