読み書きが苦手な子どもを支援! ICT機器を使った言語聴覚療法
文字の読み書きを支援する
学習障害や知的障害などによって言葉の発達が遅くなり、コミュニケーションのハードルが上がってしまう子どもたちがいます。中には学校に通い始めてから、文字の読み書きがうまくできないことに気づいて困ってしまう子も見られます。こうした子どもたちを支援するために、ICT機器を活用した言語聴覚療法の研究があります。
ICT機器の活用
読み書きの最終目標は、文章の意味を理解したり周囲に伝えたりすることです。そのため、苦手な読み書きの練習だけに時間を費やすよりも、代わりの手段を使って文章の意味を理解することが大切です。その代替手段として注目されているのが、パソコンなどのICT機器です。こうした機器が自分で読む代わりに文章を読み上げてくれたり、手で書く代わりにキーボードで文字を打つなどすれば、読み書きのハードルが下がって文章の内容を理解したり、自分が伝えたいことを書くことに集中できます。
読みの速さを向上させるための練習の研究
代わりの方法の導入も大切ですが、どのような練習をしたら読みの速さが向上するかの研究も行われています。その研究では、ICT機器が読み上げた文章を耳で聞きながら、子どもが同じ文章を口に出す、英語の「シャドーイング」のような練習をすると、音読の能力が向上することもわかってきました。文章の読みが困難な小学4年生が、この方法で2週間練習をした結果、文章の音読の速さが向上しました。
読みが苦手な子どもは、音読の宿題を嫌う傾向が見られます。頻繁につっかえながら読むため時間がかかりますし、間違えた部分を保護者などに教えてもらわなければいけないからです。しかしICT機器を使えば耳で聞いた文章をまねして口に出せばいいので、比較的スムーズに読み進められます。さらにICT機器が正しく読んでくれるため、保護者も音読をつきっきりで見る必要がなく、負担が下がります。ICT機器を使ったシャドーイングはさらに年齢が低い子どもたちにも効果的なのかなど、さらなる調査が試みられています。
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先生情報 / 大学情報
県立広島大学 保健福祉学部 保健福祉学科 コミュニケーション障害学コース 講師 細川 淳嗣 先生
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先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?