関節運動を感知する神経機能の役割とは何か

関節運動を感知する神経機能の役割とは何か

関節の中にも神経がある!

人間は、視覚、聴覚、触覚など、さまざまな感覚を使って外部の情報を得ながら、行動しています。そして、そうした感覚は、人間の体内にも存在していて、骨と骨の間の関節部分には、「関節の動きを感知する神経」というものが存在しています。例えば、目を閉じて自分のひじを曲げたとき、ひじがどのくらい曲がっているのか、感覚でわかるはずです。人間は歩くとき、道が砂利道なのか平坦な道なのか、雪が積もっているのかなどを、視覚だけでなく足の裏の感覚で認識し、その情報にしたがって、歩幅や歩く速度、ひざの曲げ方といった行動を、無意識に決めています。そういった感覚がなくなったり鈍ったりしてしまうと、歩行にさまざまな支障が出ることになります。

アスリートのパフォーマンスを向上させる

ひざなどの関節には、じん帯と呼ばれる帯状の組織があり、骨と骨をつなぐ役目をしています。じん帯の中にも神経があり、じん帯が伸びた感覚を認識します。サッカー選手などのアスリートがじん帯を切ってしまったりして、再建手術を受けることがありますが、手術においては単にじん帯をつなげるだけでなく、神経を傷つけないようにしないと、元通りのパフォーマンスが発揮できなくなる可能性があります。ひざ関節にある、じん帯や半月板などの組織は、関節運動を行ううえで大事な部位です。
アスリートのトレーニングの1つに、バランスボードを使うメニューがありますが、平衡(へいこう)感覚を鍛えるだけでなく、神経を活性化させて機能を高めるためのトレーニングでもあるのです。

神経機能を活性化させる目的とは?

もちろん、神経が重要な役割を果たすのは、アスリートだけではありません。アスリートは、けがの予防やパフォーマンスの向上のために、高齢者は運動機能の低下や老化を防ぐために、一般の人たちは日常生活を支障なく送るためにとそれぞれ目的は違いますが、神経を活性化させることが、運動機能を維持したり高めたりすることに役立つのです。

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埼玉県立大学 保健医療福祉学部 理学療法学科 教授 金村 尚彦 先生

埼玉県立大学 保健医療福祉学部 理学療法学科 教授 金村 尚彦 先生

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理学療法学

先生が目指すSDGs

メッセージ

大学では、身体の動きを観察し、分析する手法や、病気になった後にどのような理学療法を行えばいいのかなどについて教えています。
理学療法では、子どもから高齢者まで、幅広い年齢層の人を対象として、骨折やけが、脳や神経の病気などからの回復をめざし、また、病気になったりけがをしたりしないための予防などを行っています。そこでは、患者さん一人ひとりに合った個別の医療を展開することがとても重要です。あなたも、私たちと一緒に理学療法を学びませんか?

先生への質問

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埼玉県立大学は、保健・医療・福祉の「連携と統合」を目指し、学科を超えた地域活動・研究活動を行っています。多くの優秀な若者たち、明日の社会づくりの希望を持った若い力がいつかそれぞれの地域や職場で、あるいは世界のどこかで、高い志と豊かな感性、深い知識や技術を持って貢献できる可能性を秘めた人材として育っていけるよう全力で応援します。