視覚に障害がある人の生活を支えるロービジョンリハビリテーション
ロービジョンとは
病気やけがで眼を患った人は、眼科で診断や治療を受けます。その結果、視力が回復する人もいますが、残念ながら回復しないケースもあります。眼鏡などを利用しても見えにくいために日常生活に不自由がある状態をロービジョンといい、日本では現在100万人以上の人がロービジョンであるとされています。65歳以上の高齢者がその7割以上を占めますが、急に視覚が障害されロービジョンになる若者もいます。ロービジョンの人たちが、日常生活をできるだけスムーズにおくれるように訓練や支援をすることを、「ロービジョンリハビリテーション」といいます。
ロービジョンリハビリテーション
ロービジョンリハビリテーションは、医療の中では眼科医や国家資格を持つ視能訓練士が担っています。ロービジョンリハビリテーションとしては、小さなものを見やすくしたり本や新聞を読むための拡大鏡や拡大読書器、短波長の光をカットしてまぶしさを抑える遮光眼鏡など、その人にあった補助具の選定と使用訓練があります。中心が見えにくい病気や視野が極端に狭くなっている人には、目の使い方や動かし方の訓練も行います。また、福祉分野の専門家と連携し、包括的なロービジョンリハビリテーションを提供します。一方、研究分野ではプログラムの作成や検証、視機能の評価方法といった研究が行われています。
最先端治療から介護予防まで
2020年、iPS細胞からつくった網膜組織を網膜色素変性症患者に移植する臨床研究が国によって了承され、話題を集めました。網膜色素変性症は進行すると失明に至る難病で、その治療の前進が期待されます。しかし治療をしても、完全に視力が回復することは難しく、治療後のリハビリテーションは欠かせません。高齢者がロービジョンになると転倒のリスクが大きくなり、寝たきりになるという危険性もありますので、介護予防にもロービジョンリハビリテーションは役立ちます。ロービジョンとともに生きる人たちへのリハビリテーションやケアの重要性は、今後も高まっていくでしょう。
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先生情報 / 大学情報
東北文化学園大学 医療福祉学部 リハビリテーション学科 視覚機能学専攻 教授 小野 峰子 先生
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視覚機能学、ロービジョン学先生が目指すSDGs
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