言語発達に個人差があるのはなぜ? 子どもが覚えやすい言葉とは
言語発達の個人差
0歳から1歳の子どもの言語発達には個人差があり、使える単語の量や内容にも違いが見られます。例えば、物の名前をおぼえるよりも、人とのかかわりに関心を持っている子どもの場合に、単語数はほかの子どもよりも多くはないものの、大人が話す言葉のリズムをまねるかのように、発音や意味が不明瞭な少し長めの文章のような発声をする事例が見られます。
言語に影響を及ぼす共同注意
子どもの発達段階を知るためのバロメーターに「共同注意」があります。複数人が何かに注目するという現象で、自分、他者、対象の三角関係で成立します。共同注意には2種類あり、子どもが関心を向けているものに大人が寄り添う場合と、大人が子どもの注意を引きつける場合に分けられます。1歳前後の子どもは、共同注意の傾向によって習得する言葉に違いが見られました。母親と子どもが遊んでいる様子を観察すると、子どもが注目しているものに大人が寄り添ったほうが習得する単語数が多くなります。そのため大人がむやみに言葉を教え込むよりも、子どもの興味関心に寄り添うほうが言語習得には効果的だと考えられます。
言葉を発見していく子どもたち
子どもが初期に習得する単語の中には「おてて」など、いわゆる赤ちゃん言葉のようなものもあります。赤ちゃん言葉は大人が長い文章を話している場合でも、その長い音のつながりの中から単語をピックアップしやすいという特徴があります。「目」や「手」など1音の言葉は、長い音のつながりの中では、単語なのか助詞なのかわかりにくいですが、「おめめ」や「おてて」だとみつけやすいというわけです。自分で言葉を探すので、言葉を覚えたばかりの頃は間違いも見られますが、徐々に修正され大人が使う言語に近づきます。そしていずれは、使い慣れた赤ちゃん言葉ではなく、自分も友人や家族と同じような言葉を使いたいという気持ちが、さらなる言語習得に影響を及ぼすと考えられます。
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先生情報 / 大学情報
東北文教大学 人間科学部 子ども教育学科 准教授 福田 真一 先生
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