外国語習得の秘訣(ひけつ)は、「生のことば」にたくさん触れること
アメリカ人の子どもも過去形は苦手?
英語で動詞の過去形を学ぶ際、不規則動詞を覚えるのに苦労したでしょう。実は、英語の母語話者も似たような経験をしています。例えば、アメリカ人も子どもの頃には不規則動詞のgoの過去形をwentではなくgoedと表現することがあるのです。しかし、家族との会話などを通じて間違いに気づき、そうした「気づき」のプロセスを繰り返すことで正しいことばの使い方を学んでいきます。つまり、「生のことば」にたくさん触れることで言語を習得していくのです。英語を母語とする子どもの言語獲得のメカニズムを明らかにすることは、どのように外国語としての英語を習得したらよいのかということを考えるうえで役に立ちます。
どうなる? 小学校英語教育
近年のグローバル化の流れの中で、世界で早期英語教育が注目されています。日本の小学校では、2020年度に3年生で外国語活動の必修化、5年生で外国語の教科化が実施されます。柔軟な適応能力を持つ子どもたちに対し、「異なる言語や文化を理解し、共生していこうとする態度」や「相手の考えや気持ちを理解し、自分の考えや気持ちを伝えるコミュニケーション能力」の育成をめざして、豊かな英語学習の体験を与えることが重要です。そのために、言語習得・言語発達研究や異文化コミュニケーション研究などから必要な知見を得て、教育の場でどのように還元され得るかを判断し、実践していくことが求められます。
どこでも生の外国語に触れられる時代
母語話者の言語獲得に見られるように、外国語学習においても「生のことば」に触れることが非常に大切です。ひと昔前なら、現地に行かなければ「生のことば」に触れられないという状況も珍しくありませんでした。しかし、現在ではインターネットなどのICT(情報通信技術)の発達により、外国語の「良質なインプット」を多量に得ることが可能です。また、外国語学習にICTを活用する研究も進められており、これからの外国語教育に変化をもたらす分野として期待されています。
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武蔵野大学 グローバル学部 グローバルコミュニケーション学科 教授 櫻井 千佳子 先生
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