生活を便利にする、人工知能(AI)の使いこなし術

生活を便利にする、人工知能(AI)の使いこなし術

下校を見守るAIシステム

児童が学校を出てから帰宅するまでの位置情報を確認するということは、GPSを使えば可能ですが、それだけでなく、児童がどういう行動をしているのかをAI(人工知能)が判定してくれるシステムが開発されています。このシステムでは、周辺施設や行動履歴などの情報に基づき、児童の状況を推測して提示することができます。この道路は工事中なので迂回しているのだとか、店舗に立ち寄っているので買い物をしているはずだとか、詳細な状況を推測できるので保護者は安心できます。

過去のデータに基づいて推測

こうしたシステムにおいて、AIが状況判断をするためには、事前に多くの情報の蓄積が必要になります。その蓄積によって、今日の動きがいつもとどう違うのか、などを分析することができるのです。
同様の原理を使ったシステムに「持ち物推薦」というものがあります。これは、行き先に応じて持っていったほうがよいものをAIが推薦してくれるシステムです。これも、多くの人が「どこに行くときに何を持っていったか」というデータを蓄積することで可能になるもので、通販サイトなどで商品をおすすめしてくるシステムと同じ「協調フィルタリング」という技術が使われています。

生活を豊かにするAI

データやノウハウの蓄積が重要であるということは、つまり、蓄積が十分にあればあるほど、ミスの少ない判断ができるということです。例えば、超音波検査などの画像を見てAIが病気を診断するシステムは、すでに実用化されています。
AIには、高度な情報分析力と判断能力があるので、そこにほかの技術を組み合わせることで、さまざまなことが可能になります。例えばVR(仮想現実)技術と組み合わせてピアノの練習を支援する、VRを発展させたMR(複合現実)を使って仮想空間でよりリアルな防災訓練を行うなど、私たちの生活を便利にし、困ったときに助けてくれるシステムが、AIの応用によって次々に現実化しています。

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先生情報 / 大学情報

千葉工業大学 先進工学部 知能メディア工学科 教授 今野 将 先生

千葉工業大学 先進工学部 知能メディア工学科 教授 今野 将 先生

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知能情報学

メッセージ

「どうして?」と疑問に思ったことを、とことん追究しましょう。その疑問を放置してしまうとなんの進歩も生みませんが、追究すれば知識が深まり、次のステップへと進むことができます。この「どうして?」は、身の周りのあらゆるところに転がっています。
例えばアルバイトをしているときに、先輩の動きを観察してみましょう。マニュアル通りの動きをしないときには、何か理由があるものです。そこから、想定外の事態に対応するためには、自分の中にどれだけ引き出しがあるかが大切だ、ということがわかるはずです。

先生への質問

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芸の上達には、向き不向きというより、好きか嫌いかが大きく影響すると言われます。学問の道もそれに違わず、まずは興味・関心を持てることが大切です。そしてそれができたら、あとはちょっぴり努力とともに創造力を働かせればいいのです。いま「できない」ことはまったく問題ではありませんし、気にすることもありません。本学では、基礎から学べるカリキュラムが充実していますので、安心してあなたの未来が築けることでしょう。