プロジェクトの成否を握るプロジェクトマネジャー
海賊版対策よりもライブに力を入れるソフト会社
音楽やゲーム、映画などを扱うソフト産業では、違法に複製した製品(海賊版)が大きな問題となっています。著作権を支払わない海賊版が横行すれば、正規商品の売り上げに大きな打撃を与えるため、ソフトを扱う企業は、海賊版対策に力を入れています。しかし、多額の費用をかけて対策を打っても、海賊版を撲滅できるとは限りません。そこで、ある音楽ソフト会社では、海賊版対策に多額の費用をかけるのをやめ、代わりに、アーティストのライブを強化することにしました。海賊版をなくせないのなら、それを広告宣伝費と割り切り、海賊版でアーティストを知った人たちをライブに集めることで、収益を得ようと考えたのです。
事業全体で利益を最大にする戦略が必要
企業にとって、事業経営にかかるコストには、商品を製造販売するための費用など、利益を生む元になるもの以外に、海賊版対策のように、直接利益は生まないものの、利益を確保するために必要となる費用があります。そうしたさまざまな費用を総合的にとらえ、事業全体の費用対効果(利益)を最大にすることが事業経営には求められます。上述の会社の場合、音楽ソフト売り上げの機会損失への対策よりも、ライブ収入を増やすための方策に費用をかけることで、全体としての利益を拡大しようと考えたわけです。
費用対効果を最大にするプロジェクトマネジャー
こうした費用対効果をプロジェクト単位で管理することを「プロジェクトマネジメント」と呼び、その責任者が、プロジェクトマネジャーです。大量生産・大量消費の時代には、限られた製品の販売量を拡大すれば利益も拡大できましたが、価値観が多様化する現代では、さまざまな費用と利益のバランスを考えながら、多種多様な製品やサービスごとに得られる利益を最大にすることが求められています。したがって、その役割を果たすプロジェクトマネジャーがプロジェクトの成否を握っていると言っても過言ではないのです。
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先生情報 / 大学情報
千葉工業大学 未来変革科学部 デジタル変革科学科 教授 遠山 正朗 先生
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