データ工学が切り開く、モビリティの新しい未来
モビリティへのデータ活用
車でどこかに出かけるとき、経路案内のアプリを使えば、どの道が空いていて何時頃に到着できるのかが瞬時にわかります。この便利なアプリは、膨大な量のデータの上に成り立っています。GPSの位置情報や、道路に埋め込まれたセンサによる計測データ、ETCでのカウント数、運転者の持つスマホの情報などです。リアルタイムで得られるこれらのデータと過去に集積されたデータとを組み合わせてAIに学習させ、渋滞や到着時間を予測しています。
このような「モビリティ(人やモノの移動)」に関する分野へのデータ活用は、自動運転技術の開発などに伴い、ますます注目を集めています。
自動運転車が安全に走る世界
大手通販会社などの物流倉庫で、何台もの自動運転のロボットが自由自在に商品を運ぶ映像を見たことがあるかもしれません。倉庫には信号がありませんが、ロボットたちはぶつかることなくスムーズに動いています。同じように、信号がない道路で自動運転車が停まらず走れるような制御方法について、強化学習を使った研究が行われています。コンピュータシミュレーションで複数の車をランダムに走らせ、例えば「車同士が向き合って停まってしまうといった状態は望ましくない」などと教えます。そうして試行錯誤を繰り返して学習させると、信号がなくてもスムーズに走れるような車の制御モデルが出来上がります。
現実世界とデジタル空間をつなぐ
シミュレーションで作られた制御モデルを現実世界につなぐのがデジタルツインです。デジタルツインとは、現実世界のリアルなデータをリアルタイムでデジタル上に再現するものです。デジタルツインで再現された現実の車の動きに制御モデルを使えば、スムーズな車の流れを妨げないように、それぞれの車が次にとるべき最適な動きをモデルが判断して、現実の車に指示を出すことができます。
デジタルツインの開発研究は、現実世界とデジタル空間をつなぎ、新しい価値を創出するものとして期待されています。
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