自然災害の多い日本に必要なのは防災・減災を支える「人間力」

自然災害の多い日本に必要なのは防災・減災を支える「人間力」

LINEの「既読」は大震災で生まれた

友だちや家族と手軽に連絡をとれるLINEの特徴の一つは、相手が自分のメッセージに目を通したことを知らせる「既読」のシステムです。このサービスは、実は2011年の東日本大震災をきっかけに誕生しました。震災時には大切な人と連絡が取れず、不安になった人が大勢いました。そこで直接連絡が取れなくても、相手がメッセージを読んだこと、つまり無事であることが確認できるこの機能が考案されたのです。自然災害の多い日本では、このような災害への備えは大きな課題です。

施設の整備だけでは防げない災害

災害に備えるには、まずは建物の耐震化を進め、海や川に堤防をつくるなどの施設整備が重要です。しかし、設備は100年に1度起こる災害には対応できますが、東日本大震災のようなそれを上回る大災害には対応できません。なぜなら、それには莫大な費用がかかり、日常の社会生活を維持できなくなってしまうからです。そこで施設整備だけでなく、人間が自らを守り、互いに支え合う取り組みが大切になります。つまり、自分の身を自分で守る「自助」、地域の中で助け合う「互助」、その周りを支える行政による「公助」の3つが必要です。

アプリ・キャンプ・SNSで防災・減災を!

自分で自分の身を守る自助が第一ですが、知識があっても実際の行動に移す人はまだまだ多くありません。それに対し例えば、いかに「災害に備えることができていないか」を確認するためのアプリ「減災教室」が開発され、改善行動につなげようとする取り組みが行われています。また、楽しい防災訓練として、家の庭やリビングにテントを張り、電気や上下水道を使わない生活を体験しておく「防災キャンプ」の実施を推奨する動きもあります。
そして、いざという時に助け合うコミュニティづくりも大切ですが、それは地域的つながりに限らず、共通の趣味でつながったSNS上のコミュニティでも可能です。防災・減災を進めるには、施設整備と人間の力の両面が必要なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

岐阜大学 工学部 社会基盤工学科 環境コース 教授 髙木 朗義 先生

岐阜大学 工学部 社会基盤工学科 環境コース 教授 髙木 朗義 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

総合防災学、社会システム工学、土木工学

メッセージ

人は、「やりたい」というwantの部分、「やらなくてはいけない」というmustの部分、「できる」というcanの部分、この3つが合わさったところで仕事ができるのが幸せです。でも、canがほとんどない若い時は、wantが大きい方がいいでしょう。
今の時代は興味が仕事になる可能性が高いですから、ぜひ興味があることを大切にしてください。自分がしたいことを見つけるには、いつもの友だちの輪から外に出て、社会の課題を実感してみることです。まずは家族や先生以外の10人の大人と話をすることから始めてみましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

岐阜大学に関心を持ったあなたは

岐阜大学は、「学び、究め、貢献する大学」の理念の下、「豊かな人間性」を備えた「高度専門職業人」を育成することをめざします。
すべての学部・研究科が1つのキャンパスにある特徴を教育・研究の両面に生かし、特に、高度な専門職業人の養成に主眼を置いた教育、教育の基盤としての質の高い研究、地域に根ざした国際化を展開し、地域社会の活性化の中核的拠点として、地方創生の一翼を担います。