「正確で質の高い情報が低コストで流通する社会」のために
社会情報学の誕生
社会情報学は人文・社会・情報の複合領域と言われ、社会の情報化とともに生まれました。その定義は人により微妙に変わります。一点重要なのは、ここで「社会の情報化」が情報機器の普及のみではないということです。個人の内面や社会の問題も含まれるのです。
社会の情報化の本質を考える
あなたはSNSで友だちと話すとき、相手以外の大勢も意識しませんか。それは以前の普通の会話とは異なります。企業や行政などの組織も、昔よりアカウンタビリティを意識して広報に力を入れています。絵画や音楽、あるいは文学なども、単に美しさをめざすのでなく、ますます人に訴えようとしています。いわば「誰もが誰もにプレゼンテーションする」時代が到来しつつあり、ここに情報機器の普及とは別の「社会の情報化」の本質がありそうです。このような「社会の情報化」は何に由来して、私たちはどこに向かうのでしょうか。多くの大学教員が高校訪問をしたり、今あなたがメディアを通じてこの文章を読むのも、その社会的な変化の一部です。その由来や今後の展開を考えると、社会情報学の特徴が見えてくるでしょう。
正確で質の高い情報が低コストで流通する社会
社会情報学が育む職業者とは、どのようなものでしょうか。長い歴史を持つどのような組織でも、貨幣経済が進むと会計担当者が、法務が複雑になると法務担当者が加わってきました。情報の受発信がこれほどにインパクトを持つ現在では、新しく情報の専門家が求められつつあります。社会情報学の人材育成は、こうした需要に対応しつつあるでしょう。社会情報学の一つの目標は、「正確で質の高い情報が低コストで流通する社会」の実現と言えるかもしれません。ここでの「低コスト」には、たとえ組織に不都合な情報であっても社会的に必要であれば速やかに提出できるような組織体制の論点なども含みます。社会情報学が育む職業者は、組織を超えて社会全体に貢献するものです。
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先生情報 / 大学情報
群馬大学 情報学部 情報学科 教授 岩井 淳 先生
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