人の行動や状況を把握し、最適な災害支援を可能にする情報科学
最適な支援を可能にする情報
災害が起きたら、まず命を救うことが最優先ですが、多くの人たちは生き残り、生活を立て直さなければなりません。被災者がいかに生活を再建するか、壊れたまちや社会をどう復興するかまで支援することも必要です。災害の規模により、支援は数年から数十年かかる場合もあります。
行政の各種支援と、人をつなぐのは情報の役目です。情報科学によって被災者を適切に支援する手段のひとつが「被災者台帳」で、被災者のさまざまな情報を一元管理します。誰がどのような被害にあったか、今の状況、各種支援や補助金の支給状況などを管理して、罹災(りさい)証明書の発行や支援をきちんと受けられるように支援する土台となります。
必要な政策や対策がわかる
一人ひとりと向き合い、被災者の要望を聞きつつ対応することも大切で、それらもデータベース化します。困りごとを自治体に相談できない人もいます。そのため、ほかに同じ悩みを抱えている人がいないかといった全体像も情報システムによって把握していきます。個々と全体の情報があるからこそ、必要な政策や支援、関係する人たちに協力を求めるなどの対応が可能となります。
東日本大震災時は多くの人が遠方に避難し、多くの若者も関東へ移住しました。追跡調査をすると、居住地を転々として安定していないことがわかります。そして、人口減のままでは被災地の復興ができません。Uターン政策などによって、人を戻すことを考える必要があります。
AIなどの情報技術で手軽に情報を入手
地震や集中豪雨などの防災や被災者支援は、過去から学んで未来に生かすしかありません。誰もがより手軽にこれらの情報を活用できるように、AIの利用が検討されています。過去の事例を学習したAIなどが、ネットを通じて個別の質問に適切なアドバイスができるようになれば、不安を軽減し、迅速な再建に役立つでしょう。
社会情報をいかに活用するかによって、被災後も人をサポートし、誰一人取り残すことなく安心して暮らせる社会の実現が可能になるのです。
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富山大学 都市デザイン学部 都市・交通デザイン学科 准教授 井ノ口 宗成 先生
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