融合する学問! 生物学で大活躍する数学

数学を使って生物進化を理解
「自然の書物は数学の言葉で書かれている」と言ったのは、天文学者ガリレオ・ガリレイです。この言葉が示すように数学は、物理・化学はもちろん、生物学においても真理を追究するための不可欠かつ強力なツールです。
生物学に数学を応用した研究の一つに、遺伝子の塩基配列やタンパク質のアミノ酸配列の類似性の測定があります。異なる生物種間でこれらの配列の類似性が高い場合、共通の祖先から進化した「相同性」があると予測できます。相同性の有無を知ることは種の進化の理解につながるほか、医学研究においてヒトに近い機能を持つ実験動物の選択にも必要です。
種の違いを距離で表す
研究では、遺伝子やタンパク質の配列の類似性を距離に置き換えて数学的に比較・評価します。その際に難しいのは、次のような変異が起きていた場合です。例えばタンパク質のアミノ酸配列のうち、アミノ酸AがBに、BがAに変異していたとすると、全体としてみたときに変異がカウントされません。必要な情報が損なわれてしまうため、このような場合にも正しく評価できるような数学的手法が探索されています。
教科書や参考書の中でよく見かける生物進化の系統樹は、生物種間の距離をもとに、数学的なアルゴリズムを使ったプログラムで作成されています。
数学と生物をつなげる情報科学
数学は生物の真理探究に有用ですが、数学の定理をそのまま生物にあてはめることはできません。ここで数学と生物の橋渡しとなるのが「情報科学」です。生物学上の課題を解決するための数学的なアルゴリズムを開発し、それをプログラムに実装して生物学のデータを読み込ませることで、数学を生物に適用します。このように数学と情報科学を用いて生物学を研究するのが「バイオインフォマティクス」の学問分野です。バイオインフォマティクスは数学の考え方を取り入れることで生物学の研究を効率化するとともに、生物学の課題の解決に寄与するものとして期待されます。
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