日常は選択の連続! 「最もいい方法」を考える数理最適化問題
日常に潜む数理最適化
日常生活には、さまざまな場面で決断を求められます。例えばある目的地までの行き方を考えるとしましょう。このとき人は、一番安く行ける方法、最短時間で行ける方法、乗り換えが少なくて楽な方法など、何らかの条件に基づいて最適なルートを選択します。ルート探索の場合は、値段や時間、乗り換え回数などを最小にすることが最適な選択です。このように、特定の基準に対して結果が最小もしくは最大となるような答えを求める問題は「数理最適化問題」と呼ばれています。
数理最適化問題と社会課題
データサイエンスの一環である「オペレーションズ・リサーチ」では、社会にあるデータを使って課題の解決をめざしています。このときよく用いられるのが数理最適化問題の考え方です。例えば宅配便のトラックは、配送センターを出発したあと、届け先を効率よく回って配送時間を最小にする必要があります。そのうえ「移動距離を短くする」「荷物はトラックの積載容量を超えてはいけない」など複数の制約を考慮したうえで、最適なルートを求める必要があります。この問題は「配送計画問題」と呼ばれて研究が盛んに行われています。
問題を「解きやすい形」に直す
「配送計画問題」に限らず、数理最適化問題でベストな解を見つけるには、すべての可能性を列挙することが理想です。しかし列挙する数が膨大になると答えが出るまでに長い時間がかかります。現実的な時間内に解くために、数理モデルやアルゴリズムに工夫が施されています。
例えば問題の条件を一部「緩和」する工夫です。本来ならば整数で答えを出さなければいけない問題に対して小数の数値が出てもよしとするなど、さまざまな緩和方法の中から効果的なものを見つけます。緩和した計算の結果を基にすれば、最適解に近い数値を推測可能です。ただし過剰に緩和すると最適解から遠ざかってしまい、緩和が弱すぎると問題を解けなくなることがわかっています。最適解の精度が最も高くなる緩和条件を見つけようと、研究が続いています。
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