音声対話システムによって地域社会の課題を解決しよう!
身近な所で定着する音声対話システム
アップル社のAI(人工知能)アシスタントSiriやスマートスピーカー(AIスピーカー)Google Homeなど、コンピュータに話しかけると返事が返ってくる音声対話システムが、私たちの生活に定着しつつあります。
人間同士が話すように対話するこの技術は、相手の言うことを聞き(音声認識)、それを理解して返事を考え(自然言語処理)、その返事を音声にする(音声合成)という3つの要素に支えられています。これらの技術を急速に向上させた一番の要因はAI研究の発達です。例えば音声認識率は、AI研究の基盤技術であるディープラーニングの導入により飛躍的に向上しました。
音声の誤認識やプライバシー権の問題も
しかし、AI研究が発達する一方で社会的な問題や課題も表出しています。例えば、プライバシーの問題です。スマートスピーカーを通じて得られたユーザーの音声はクラウドで処理されるため、事業者のサーバに送られます。また、音声の誤認識や利用者の言い間違いによって生じる電子商取引上の誤発注も発生しており、システムの進歩に対して法整備などの社会的対応が後手に回っているのが現状です。
重要なことは、ユーザーがこれらの仕組みをしっかりと理解した上で、各個人がこれらの仕組みを利用するにあたって事業者と交わしている契約内容を把握して、自分で自分を守るという考え方を身につけなくてはなりません。
地域社会での活用が次の展開
このように音声対話システム研究は今、世界中に広く展開可能なモデルを形成し実際に使用しながら、そこで発生する社会的・技術的課題にも取り組み続ける成熟段階にあります。次の展開として注目されているのが、より身近な地域社会の課題解決にこのシステムを生かす研究です。例えば、観光客への多言語対応や防災・減災に関するツールでの利用など、生かし方は多様に広がる可能性を秘めています。そのために経営学や社会学などの専門家と共同で学際的な研究が日々進んでおり、社会情報学は新たな注目を集めています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
福知山公立大学 情報学部 情報学科 教授 山田 篤 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
情報学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?