数学で解き明かすネット炎上のメカニズム
世界中どこにでも瞬時に情報を送れる
近年、情報通信ネットワークの発達により、インターネットの利用環境が向上し、パソコンやスマートフォンなどで、いつでも簡単にアクセスできるようになりました。テキストメッセージであれば、通常数秒で相手に届きます。人は画面に向かって文字を打つだけ、受け取った相手は表示される画面を見るだけですが、裏でデータは、電話会社の基地局などの複雑な経路を通して、超高速で運ばれています。どうすればいかに速く、トラブルなくデータを運べるのかを考える学問は、グラフ理論やネットワーク理論と呼ばれ、エンジニアたちが日々研究しています。
アクセス集中による障害など、課題もまだある
ラッシュ時のターミナル駅での使用や、ゲーム、動画の視聴、チケット申し込みなどでは、通信が遮断されたり、遅くなったりすることがあります。このような原因は、多くの場合、トラフィックと呼ばれる情報量の増加です。通信会社では、回線を増やしたり、ジャンクションと呼ばれる分岐を工夫したりすることで、より快適に使えるようにしています。とはいえ、時間や費用もかかりますし、回線を増やしたことによって、トラフィックがさらに集中するケースもあり、一筋縄ではいかないのです。
ネット上を行き交う情報の動きの謎
このアクセス集中や障害などのメカニズムを解明するために、たくさんの情報がどのようにやりとりされ、ネット上を流れていくのかが研究されています。例えば、時にはネット炎上を引き起こすSNSにおける噂の拡散過程は、動的な数理モデルで表現することができます。情報が伝搬するネットワークを抽象化したグラフの代数的性質から、情報拡散の速度に大きな影響を及ぼすメカニズムを解き明かすことができるのです。
今よりももっと快適に、たくさんの情報量をやりとりできるようになれば、遠くにいる人がすぐ目の前にいるように見えながら、会話ができるといったことも可能になります。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの普及と発展も期待されています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
創価大学 理工学部 情報システム工学科 教授 篠宮 紀彦 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
情報工学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?