CT画像からコンピュータの計算で病変を検出
スライスすれば、中身が見える!
レモン1個に種がいくつあるかを調べるとしましょう。普通に2つに切っても、すべての種を見つけることはできません。しかし数ミリ単位でスライスしていけば、すべての種を見つけられると思いませんか? この考えのもと、人体を細かくスライス撮影し、体内を調べるのがCT検査です。近年は検査機器が高性能化し、一度に大量のスライス画像を得ることが可能です。この大量の画像を、間違いなく見落としなく見続けるのは大変な作業です。このため、画像から計算で病変を見つけ出し、良悪性までも判別できるコンピュータ支援診断システムの開発研究が進んでいます。
コンピュータの都合に合わせてひと工夫
「コンピュータ支援診断システム」に求められるのは、正確な判断(出力)です。これには、コンピュータに都合の良いデータを与えることが重要です。これは、日本で都合の良い「円(お金)」を、アメリカに行った際にアメリカで都合の良い「ドル」に変換することと似ています。つまり使う画像を上手く変換するということです。画像データを周波数データに変換してコンピュータに与えることで、計算精度が上がります。病変を検出するには、こうした複数の画像(データ)をAIに学習させる「深層学習」が必要です。また事前にCT画像とは無関係な画像を大量に学習させておくと、AIは着目すべき箇所を学習できるようになるとされ、システム開発でも応用されています。
医療格差をなくして、みんなを健康に!
さらにコンピュータ支援診断では、システムの評価も欠かせません。いくら「がんの可能性80%」と出ても、そのシステム自体が60%の精度(正解率)しかなかったら、がんの可能性が大きく変わってくるからです。
周波数変換を使った画像処理、深層学習など、さまざまな情報テクノロジーを組み合わせることで、より精度の高い画像診断が可能になります。この技術が広まれば、どの病院でも同じレベルの診断ができ、医療格差も解消されて、多くの人の健康に貢献できるのです。
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