高度化する医療機器のスペシャリスト「臨床工学技士」の仕事とは?
チーム医療の一員としての「臨床工学技士」
「臨床工学技士」は、人工心肺装置や人工呼吸器、人工透析装置など生命に直結する生命維持管理装置の操作、および保守点検を行います。現在の医療に不可欠な医療機器は高度化しており、医学(臨床)と工学(医療機器)の知識を併せ持つ医療系国家資格である臨床工学技士が、安全な医療を提供するために重要な役割を担っています。医療機器のスペシャリストとして、またチーム医療の一員として約2万人の臨床工学技士が医療現場で活躍しています。
国内で約33万人が受けている人工透析
「人工透析」は、腎臓の機能の一部を代替えする人工臓器です。腎臓は、その機能が徐々に低下すると血液のろ過が行えず、体内の水分や老廃物のコントロールができなくなります。正常な腎機能の10%以下になると、生命を維持するために人工透析による治療を行う必要があります。一度失われた腎臓の機能を回復させることは難しいので、患者さんは週3回、約4時間かかる治療を、生涯にわたって受け続けなくてはなりません。現在、糖尿病の合併症である糖尿病性腎症などを理由として、国内で約33万人が人工透析を受けています。
臨床工学技士に求められるものとは?
医師の指示の下、臨床工学技士は患者さんの様子を見ながら生命維持管理装置を操作することはもちろん、トラブルが起きていないか常に気を配らなくてはなりません。もし、地震などで停電が起きたり、トラブルが起きてアラームが鳴ったりしても、瞬時に状況を判断して、患者さんが不安にならないように看護師とともに冷静にかつ笑顔で対処します。そのためには、医療機器がいつでも安全に使えるように、日頃からの保守点検が重要となります。
しかし、それだけではなく、患者さんの治療には常に医師や看護師を含む多職種のスタッフとの連携が必要不可欠であり、コミュニケーション能力も求められます。
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先生情報 / 大学情報
東北文化学園大学 工学部 臨床工学科 准教授 佐々木 典子 先生
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