地震による「液状化」を防ぐにはどうすればいい?
液状化現象の被害
地震にともなう液状化現象によって、地表面下から砂や水が噴出したり、ガス管が浮き上がったり、道路が割れたりすることがあります。また、建物が沈下したり、傾いたり、最悪の場合は倒壊したりします。さらに、斜面では土砂崩れが起こることもあります。このような複合災害は、大きな人的被害を引き起こします。液状化現象は、社会基盤(インフラ)を破壊するので、あらかじめ防ぐことが必要です。
液状化現象のメカニズム
液状化は砂地盤に起こる現象です。土中では、通常は砂や砂利のような粒子が接触していて安定していますが、震度5強以上の強い地震の振動によって、粒子間の間隙(かんげき)水圧が上昇して、粒子が互いに離れ、液状化が発生します。また時間がたつと、液状化によって外に出た水や砂の量、かつ地中に離れていた粒子間の隙間が小さくなり、地盤が沈下します。液状化時に地中に存在する軽いものは浮き上がりますが、液状化終了後、地盤の沈下が原因で地表にある重いものは下に移動します。
液状化が起こりやすいのは、池や田んぼ、埋立地など、砂地盤で土中がゆるく、地下水の水位が地面に近いところにある地盤です。1964年に発生した新潟とアラスカ大地震の際、地震そのものではなく、液状化現象が原因で建物の倒壊などが起こったため、この現象に注目が集まり、以来研究が積み重ねられています。
廃タイヤを利用して液状化を防ぐ
液状化しやすい地盤は水と土でできた飽和土なので、空気を含んだ不飽和の地盤にすることが有効です。また、地面に杭を打ったり壁を作ったりすることで地盤を強化する方法もありますが、どれも多大なコストがかかるというのが欠点です。そこで、廃タイヤをチップ化して土中に埋め込むことで、土中の粒子間の間隙水圧を下げるという方法が研究されています。廃タイヤのリサイクルすることで環境負荷が少なく、安価に材料を調達できます。特に建物の場合は、建物の下部にある免震装置のさらに下の地盤にタイヤチップを埋め込むため、さらなる免震効果も期待できます。
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九州大学 共創学部 共創学科 教授 ハザリカ・ヘマンタ 先生
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