非在来型天然ガスとして期待される「メタンハイドレート」とは?

非在来型天然ガスとして期待される「メタンハイドレート」とは?

非在来型天然ガスのひとつ「メタンハイドレート」

「都市ガス」は、一般に国外などから調達した天然ガスから製造されます。その主成分のメタンが、メタンハイドレートの形で海底や湖底の堆積物の中にもあることがわかりつつあります。現在、世界中でこの物質についての調査・研究が行われています。
日本でも、メタンハイドレートの調査が行われています。この物質は、水分子が水素結合でつながってナノスケールのカゴを形成し、そこにメタンが取り込まれているのです。メタンハイドレートを温めたり圧力を低くして分解させ、メタンを得ることが期待されています。

作られている場所と作られ方を調査・研究

メタンハイドレートは、低温・高圧下で水とメタンから人工的に作ることができます。北海道沖のオホーツク海の場合は、水深500メートルあたりの圧力と水温で作られています。メタンハイドレートが存在する堆積物の硬さや特徴も調べられています。また、メタンは、海や湖の底にたまったプランクトンなどの有機物が、主として微生物や地熱によって分解されて発生することが明らかになっています。さらに、ロシアのバイカル湖の調査で水分子を分析したところ、湖の水ではなく、地底から沸き上がっている水が使われていることが確認されました。

メタンハイドレートへの期待

メタンを多く得るには、水分子のカゴに取り込まれるガスがメタンである必要があります。メタンと一緒にほかのガスが取り込まれると結晶構造が変わるので、メタンのカゴへの取り込まれ方が変わります。また、カゴの空き部屋が多いと多くのメタンを得ることはできません。そこで、どれくらいカゴが埋まっているかも評価します。
メタンハイドレートは将来の貴重なエネルギー資源として期待されています。この研究は、将来新しい産業に結びつくかもしれません。メタンやメタン以外のガスハイドレートの工学的な利用も期待されています。また、エネルギーの地産地消など、これまでと違うエネルギー循環も期待できるでしょう。

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先生情報 / 大学情報

北見工業大学 工学部 地球環境工学科 教授 南 尚嗣 先生

北見工業大学 工学部 地球環境工学科 教授 南 尚嗣 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

分析化学、物理化学、地盤工学、微生物学

先生が目指すSDGs

メッセージ

あなたは、非在来型天然ガスのひとつとして期待されているメタンハイドレートを知っていますか。メタンハイドレートは、国内外の海底表層や永久凍土環境で発見されています。しかし、なぜその場所にあるのか、どうやってできたのかなど、よくわからない点も多いのです。
北見工業大学では、ガス、水、結晶、土、微生物などの専門家の力を結集して研究を進めています。メタンハイドレートの生成環境と生成機構を解明するための基礎研究と今後の工学利用に向けた研究の取り組みです。あなたも一緒に挑戦しませんか。

先生への質問

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「人を育て、科学技術を広め、地域に輝き、未来を拓く」北見工業大学では、高度化・複雑化している科学技術の急速な進展の中で、「個々の専門分野についての基盤的な技術、知識を有するだけではなく、学際領域や新しい分野の開拓にも柔軟に対応できる能力を持ち、自然と調和した科学技術の発展と国際社会への対応を念頭においた技術開発を行い得る人材を養成する」ことを使命としています。このことをもって、本学は地域社会の発展はもとより、国家・ 国際社会の安全と平和および文化の進展に貢献します。