1000年以上昔から残る、日本の木造建築のすごさとは?
台風や地震にも耐えてきた木造建築
日本には、約1300年前に建立されたと伝えられる、世界最古の木造建築である法隆寺をはじめ、古い時代に建てられた木造建築がたくさん残っています。台風や地震など、常にさまざまな自然の脅威にさらされている日本において、ほかの国と比較してもどうしてこれだけ多くの古い木造建築が現存しているのか、実はまだ完全には解明されていないのです。
仏教とともに伝来したさまざまな建築技術
6世紀頃に大陸から日本に仏教が伝来したとき、建築に関する新しい技術も同時に多くもたらされました。それまでは、地面に穴を掘って柱を立てる掘立柱(ほったてばしら)の建物が主でしたが、掘立柱は地面からの湿気で柱が腐りやすいという欠点がありました。しかし、この時期に大陸から伝わった新しい技術や工具によって建物自体をしっかりと作ることができるようになり、柱を埋めずに礎石(そせき)の上に載せて建物を組めるようになりました。また、高い温度で焼く瓦により、雨漏りしにくい屋根を葺(ふ)くこともできるようになったのです。
鎌倉時代には、それまでの部材を単に上に積み重ねていく組み方から、部材に穴を空けて通す貫(ぬき)を活用した組み方などが用いられるようになり、建築技術はさらに熟成を重ねていきました。
全部バラバラにして組み直す
奈良や京都にある日本の古い木造建築は、建築当初の状態のまま現在まで持ちこたえているわけではなく、「解体修理」と呼ばれる大がかりな修繕が何度か施されています。解体修理では、すべての部材をいったんバラバラにして、健全な部材は残しつつ、傷んでいる部材を交換したり繕ったり、割れている瓦を直したり、いったん落とした土壁の土に新しい土を混ぜて作り直したりします。解体修理については賛否両論ありますが、石や煉瓦(れんが)の建築物での解体修理は困難であり、このことも日本の木造建築のユニークさを表しているといえます。
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