日本と海外の若者問題、その対策とは?

日本と海外の若者問題、その対策とは?

日本の若者問題

日本では若者の引きこもりが社会問題となっています。若者だけでなく、80代の親が引きこもりの50代の子の面倒を見る「8050問題」も重要な課題です。引きこもりになると、単に学校に行けない、就職できないというだけでなく、親子関係も壊れがちになり、親の夫婦関係が悪くなったり、親子間で暴力が発生したりすることもあります。この問題に対応しようとしても、日本では他人を家に入れない、家庭内の問題を隠すという傾向が強いため、なかなか実態をとらえられません。

経済援助を続けられるが故に

引きこもりの問題は日本で顕著なものと言えます。海外では経済的に独立することが基本であるため、親の援助を受け続けることはまれです。しかし日本では、親がバブル世代で経済的に余裕があり、高齢になっても経済援助を続けられることが、引きこもりを助長する一因にもなっています。実態がわからない、従来の福祉対象から外れているという理由で、対策が後手に回っているというのが現状です。親の援助はいつまでも続きませんし、自活する能力がなければ、ドロップアウトするおそれもあります。日本社会はこの問題を真剣に考える必要があるのです。

イギリスと韓国の若者問題

一方、海外でも若者問題は存在します。例えば、イギリスでは貧困や、移民で英語を話せないことなどから、義務教育後に上の学校に進めず、就職できないニートと呼ばれる若者が、薬物に手を出す、反社会的行動を起こす、という問題があります。この問題に対して、国は住む場所や就職するまでの資金の提供や、職業訓練などの支援を行っています。
また、韓国では構造的な経済問題から大学を出てもなかなか就職できず、3年程度かかることもあります。彼らに対して、国はインターンシップや資格取得、ボランティア体験などの支援を行っています。最近では低所得家族に対して、現金を支給してアルバイトの時間を減らせるようにし、必要な支援を受けやすくしています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

岡山県立大学 保健福祉学部 現代福祉学科 教授 岩満 賢次 先生

岡山県立大学 保健福祉学部 現代福祉学科 教授 岩満 賢次 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

社会保障学、社会福祉学

先生が目指すSDGs

メッセージ

あなたは「若者支援」という言葉を聞いたことがありますか? 現在、社会福祉には、児童や障がい者、高齢者の支援だけでなく、「若者支援」という領域が出てきています。若者は近年さまざまな支援を必要とする生活課題を抱えています。ところが、新しい支援対象なので、対策が後手に回っているのが現状です。
そこで、さまざまな国での若者への支援方法を比較検討しています。若者の就職や進学は世界的に問題となっていて、今後も続く課題です。この分野に興味があるなら、ぜひ一緒に勉強しましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

岡山県立大学に関心を持ったあなたは

未来を教育する岡山県立大学は、保健福祉学部、情報工学部及びデザイン学部の主専攻を学ぶ縦糸と、学部バリアフリーで学ぶ副専攻の岡山創生学が横糸となり、未来を拓く人材像を編みだします。本学の教育理念である「人間、社会、自然」との関係性を重視して地域に貢献することは、予測不可能な未来社会で生きるための知・感性・技が磨かれます。自然の摂理を知ることにより、人間を理解し、情報化のみでは満たされない健全な社会が構築できるからです。いま胎動する地域創造への挑戦。本学でワクワクするような挑戦を試みませんか?