NPO法人やボランティア活動が抱えている課題とは?

NPO法人やボランティア活動が抱えている課題とは?

注目や期待の裏に見えるさまざまな課題

東日本大震災での復興支援におけるNPO法人(Nonprofit Organization:特定非営利団体)やボランティアの活躍は、社会的にも注目を集めました。高校生や大学生などが働く姿は、社会に役立つことをしたいと考える若者たちが増えていることの表れのようです。
また最近では、ビジネスの手法を使って社会的な課題を解決する社会的企業に関心を持つ若者も増えています。こうした非営利組織には、政府、企業と並ぶ第3のセクターとして、民間の力で社会の課題を解決してほしいという期待が集まっています。しかし、彼らの現状に目を向けるとさまざまな課題が見えてきます。

主宰者の手弁当で成り立っているNPO法人も

NPO法人については、組織の資源である人材・資金ともに不足している現状があります。実際に、マスコミやニュースで取り上げられる頻度が高くなっているのとは裏腹に、ボランティアの数も寄付金も、ここ20~30年間、増えていないのが実情なのです。
高齢者や障がい者の支援を行う福祉系のNPO法人は、介護保険制度からの安定した収入が見込めますが、平和や人権、国際協力、環境、子育てなどの分野で活動を行うNPO法人は、主宰者の手弁当で成り立っていることも少なくありません。

私たち一人ひとりが活動を支援する気持ちが大切

NPO法人といえども、企業と同じように人事や経理、総務などの組織を運営するための体制と人材、そして資金が必要であり、決して理念だけ、楽しいだけのユートピアではありません。まずは、活躍の裏にある苦労や大変さを正しく知ることが大切なのです。そして、NPO法人やボランティアに期待するのであれば、私たち一人ひとりがその活動を支援する、また活動に参加するという意識と行動が必要でしょう。新聞やニュースを通して、今社会の課題がどこにあり、何が問題なのかをキャッチすることも大切になってきます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

広島市立大学 国際学部  教授 金谷 信子 先生

広島市立大学 国際学部 教授 金谷 信子 先生

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行政学、経営学、経済学、社会福祉学

メッセージ

最近、社会のために役立ちたいと考える若者が増えています。ボランティアやNPOのニュースが増え、多くの場合、これらの活動は正義の味方として報じられているようです。しかし、民間の立場で社会的な活動を行う非営利の活動はボランティアだけではありません。老人ホーム、保育所、児童養護施設などの福祉施設や私立の学校なども含まれています。最近では、ビジネスの手法で社会的な課題を解決する社会的企業も注目されています。非営利組織あるいはNPOの活動を窓にして、世の中の動きを立体的に学んでほしいと願っています。

広島市立大学に関心を持ったあなたは

広島市立大学は、広島市の都市像である「国際平和文化都市」にふさわしい大学づくりをめざして、1994年に「科学と芸術を軸に世界平和と地域に貢献する国際的な大学」を建学の理念として開学しました。
世界と地域が求める新しい時代の要請に応えるため、「国際、情報、芸術、平和」をキーワードに、特色ある教育研究活動を通じ、学術の振興と感性豊かな創造力、実践力を備えた人材を養成し、教育研究の成果を地域に還元するとともに広く世界に発信しています。