「誰もが質の高い教育を受けられる世界」で生まれる課題とは?
進学率が高まったアフリカ諸国
ウガンダでは2000年前後から、日本の中学校・高校の位置づけの「セカンダリースクール」や大学に進む若者が増えました。1990年代半ばに初等教育が無償化されたことで就学率が上がり、学び続けたい人も増えたからです。セカンダリースクールや大学は都市にあるため、農村の若者は進学を理由にどんどん都市に出るようになりました。そこで、都市で生活する農村出身の若者を取り巻く現状を明らかにしようと調査が進められています。
就職できない大卒者たち
学歴社会の進展とともに課題になったことのひとつが、若者の就職難です。ウガンダの都市部では若者の就職率が低下しています。専門性が問われて収入が高い、いわゆる「いい職」を希望する大卒者が増えて、数少ない求人枠が奪い合いになっているからです。
ウガンダの就職活動は、日本とはまったく異なります。例えば、ウガンダでは公的セクター・私企業ともに、コネがなければ就職は難しいと学生たちは考えています。さらにインターネット上の求人はうその情報も多く、信用できないものばかりだと言われています。特にコネのない農村出身の若者は、人づての情報や、自分の足で稼いだ情報を頼りに就職活動をするしかなく、不利な状況が続いています。
都市に滞留する農村出身の若者たち
それでも大学を卒業した若者にはプライドがあるため、農村に帰って機械化されていない農業を始めようとはせず、なんとか都市にしがみついて生活しています。直ちに就職市場が拡大することは難しいため、こうした状況は今後も続いていくと予想されます。
SDGsでは「質の高い教育をみんなに」という目標が掲げられていますが、ウガンダのように大学進学が当たり前になると、教育を受けたあとの若者たちには就職難という新たな課題が生じます。都市に滞留する農村部出身の若者たちはどのようにサバイブしているのか。課題解決のため、まずは現状を知ることが重要であり、研究が続けられています。
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先生情報 / 大学情報
弘前大学 人文社会科学部 社会経営課程 准教授 白石 壮一郎 先生
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