誰もが人生のどこかで介護をする時代がやってくる!?
誰もがいつかはケアラーになる?
病気や障がいのある家族を世話して、看護・介護する人たちのことを「ケアラー」と呼びます。18歳未満の「ヤングケアラー」、子どもを世話しながら別の家族を介護する「ダブルケアラー」、仕事をしながら家族を介護する「ワーキングケアラー」、そして、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」など、年代によってさまざまなケアラーがいます。つまり、誰もがいつかはケアラーになる可能性があるということです。
「隠れた患者」の正体とは?
その在宅介護の中でかなりの数を占めるのが「ワーキングケアラー」です。ワーキングケアラーは、仕事と介護の両立が難しくなって仕事を辞める「介護離職」に陥りがちで、収入や将来の生活設計が不安定になってしまうことがあります。離職に至るのは、私生活がなくなり、睡眠時間がとれず、体調が悪くても休めず、どうしても立ち行かなくなった時に仕事ではなく介護の役割を優先しようとするからです。このようなケアラーは、むしろ本人のケアが必要なのに気づかれないため、「隠れた患者」とも呼ばれています。背景には介護は家族がするものという風習があると同時に、介護をしないと後で悔やんでしまうという思いがあるのではないかと推測されます。いずれにせよ、ケアラーの中には身を削る思いをしている人たちもいるわけです。
命を支えるケアラーを支えよう
そのような中で「ケアラー支援条例」を制定する自治体が現れ始めました。ケアラー個人が尊重され、健康で文化的な生活を営めるように自治体や事業者などが支援していく姿勢を示したものです。しかし、2023年春の時点で、ケアラー支援条例を制定しているのは全国で18自治体しかありません。「ワーキングケアラー」をはじめ多様なケアラーの世の認知を高めるためには、私たち一人ひとりが「ケアすること」に関心をもつことが大切です。ケアラーが倒れるとケアされる人も共倒れしてしまいます。そのようにケアラーが命に関わる大切な存在だと認識されれば、支えようとする機運も高まるはずです。
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