さまざまな検査で病気の原因を突き止める臨床検査技師
臨床検査技師の検査内容
臨床検査技師は、医師の検査依頼を受け、診断に向けて必要な生体情報を提供する仕事です。臨床検査技師が担う検査内容は、大きく2つあります。ひとつは、患者の血液や尿、便、病理組織などを分析する「検体検査」です。もうひとつは、検査機器を用いて患者の身体の様子を直接調べる「生理機能検査」です。検体検査は患者から得られた検体を使い、多くは患者から離れたところで検査を行いますが、生理機能検査は患者とコミュニケーションを取りながら検査を行います。
生理機能検査では何を行うか
生理機能検査では、さまざまな検査機器を取り扱います。例えば、胸がドキドキするという症状の場合は、心電図検査を行います。心臓から発生する電気信号に乱れがあれば、不整脈の疑いがあります。胸が痛い場合は、心電図検査や超音波検査を行います。超音波検査は音を体内に放射して、跳ね返ってくる時間から画像を作り、画像診断を行う装置です。心臓の拍動が弱い部分があると心筋梗塞の疑いがあります。また、おなかが痛いときに、超音波検査で腸(虫垂)に腫れが写ると虫垂炎の疑いがあります。腰や背中が痛いときに多いのは尿路結石です。尿管が詰まって腎臓が水浸しになるため、本来、画像で白く見える部分が黒く見えてきます。
呼吸が苦しく息切れするという場合は、肺活量を計測する呼吸機能検査を行います。頭が痛い場合は、磁気で頭の中を撮影するMRI検査を行います。こうした検査を用いることで、肺炎や肺気腫、脳腫瘍やくも膜下出血などの病気を見つけることができます。
正確かつ速やかな診断のために
この他にも、運動能力の測定や、動脈硬化の進行度を調べたり、睡眠時無呼吸症候群を検査する機器もあります。臨床検査技師は、それぞれの検査方法や検査機器の取り扱いを理解して、正確にかつ速やかに検査を行い、患者の病態や苦痛の原因を突き止める必要があります。そのためには、検体検査の結果や症状などを関連付けて、患者を取り巻く医療行為を包括的にとらえ、考えることが求められます。
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先生情報 / 大学情報
群馬大学 医学部 保健学科 准教授 松井 弘樹 先生
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