講義No.10309 医療技術

さまざまな検査で病気の原因を突き止める臨床検査技師

さまざまな検査で病気の原因を突き止める臨床検査技師

臨床検査技師の検査内容

臨床検査技師は、医師の検査依頼を受け、診断に向けて必要な生体情報を提供する仕事です。臨床検査技師が担う検査内容は、大きく2つあります。ひとつは、患者の血液や尿、便、病理組織などを分析する「検体検査」です。もうひとつは、検査機器を用いて患者の身体の様子を直接調べる「生理機能検査」です。検体検査は患者から得られた検体を使い、多くは患者から離れたところで検査を行いますが、生理機能検査は患者とコミュニケーションを取りながら検査を行います。

生理機能検査では何を行うか

生理機能検査では、さまざまな検査機器を取り扱います。例えば、胸がドキドキするという症状の場合は、心電図検査を行います。心臓から発生する電気信号に乱れがあれば、不整脈の疑いがあります。胸が痛い場合は、心電図検査や超音波検査を行います。超音波検査は音を体内に放射して、跳ね返ってくる時間から画像を作り、画像診断を行う装置です。心臓の拍動が弱い部分があると心筋梗塞の疑いがあります。また、おなかが痛いときに、超音波検査で腸(虫垂)に腫れが写ると虫垂炎の疑いがあります。腰や背中が痛いときに多いのは尿路結石です。尿管が詰まって腎臓が水浸しになるため、本来、画像で白く見える部分が黒く見えてきます。
呼吸が苦しく息切れするという場合は、肺活量を計測する呼吸機能検査を行います。頭が痛い場合は、磁気で頭の中を撮影するMRI検査を行います。こうした検査を用いることで、肺炎や肺気腫、脳腫瘍やくも膜下出血などの病気を見つけることができます。

正確かつ速やかな診断のために

この他にも、運動能力の測定や、動脈硬化の進行度を調べたり、睡眠時無呼吸症候群を検査する機器もあります。臨床検査技師は、それぞれの検査方法や検査機器の取り扱いを理解して、正確にかつ速やかに検査を行い、患者の病態や苦痛の原因を突き止める必要があります。そのためには、検体検査の結果や症状などを関連付けて、患者を取り巻く医療行為を包括的にとらえ、考えることが求められます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

群馬大学 医学部 保健学科 准教授 松井 弘樹 先生

群馬大学 医学部 保健学科 准教授 松井 弘樹 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

臨床検査学

先生が目指すSDGs

メッセージ

病院で血液や尿を採取されたり、心電図や超音波検査などの検査を受けたりしたことがありますか? 臨床検査技師は、患者さんの病気のありかを正確にかつ速やかに突き止め、適切な治療に結びつける仕事です。いわば、体の中に潜む病気の犯人探しの役割を担っています。
そのためには、医学的な知識はもちろん、さまざまな検査結果からその正体を探る思考力や問題解決能力が必要になってきます。検査を通じて多くの患者さんを救うことができるよう、臨床検査技師にぜひ関心を持ってください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

群馬大学に関心を持ったあなたは

群馬大学は北関東を代表する総合大学として、優れた人材を育成し、学問の研究と応用、福祉への貢献など、社会的使命を果たすことを特色としています。「社会のニーズに配慮しつつ細分化から総合化へ」という理念を研究面、及び教育面に具体的に実現させ、「研究活動面における社会との連携及び協力」に高く評価される形となって生かされています。