焼き物とナノテクノロジーの融合が未来を拓く
古くて新しい素材、セラミックス
セラミックスは陶磁器に代表される、いわゆる「焼き物」として古くから人々の生活を支えてきました。今日では、優れた機能を持つセラミックスが開発され、電子機器や自動車などさまざまな製品に利用されています。我々の生活は、もはやセラミックスなくして成り立たないと言っても過言ではありません。
最近では、100万分の1ミリメートルを操るナノテクノロジーを駆使して作られたセラミックスが注目されています。ナノメートルサイズの粒子からなるセラミックスは、従来のセラミックスとは一線を画す優れた機能を持っています。
ナノセラミックスでエネルギーや環境問題を解決
その1つが、セラミックスを使った燃料電池です。水素と酸素の化学反応によって電気を作る燃料電池は、クリーンな発電装置として注目されています。電極にセラミックスのナノ粒子を使うことで、化学反応の効率が大幅にアップします。高性能化により電池の小型化が可能になり、さまざまな電源としての応用が期待できます。
排気ガスを浄化処理する触媒の素材としても、セラミックスのナノ粒子が適しています。反応の効率が高いということは、浄化作用に優れているということです。このように、セラミックスはエネルギーや環境問題の解決にも一役買っているのです。
ナノ粒子を精密にデザインする
ナノ粒子は、大きさだけでなく、形状や原子の配列構造などで機能が大きく変化します。それを自在に制御してデザインできるようになれば、より高機能で役立つ材料が作られるでしょう。例えば、化学反応をコントロールして従来の方法では得られない原子の配列構造を持つ酸化ジルコニウムナノ粒子や、活性な表面を持つ立方体状の酸化スズナノキューブが作製できます。これらは、エネルギーや環境分野だけでなく、化学、電気、光学などさまざまな分野での応用が期待されています。
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先生情報 / 大学情報
群馬大学 理工学部 物質・環境類(化学システム工学プログラム) 准教授 佐藤 和好 先生
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