医師のサポートだけではない、看護師の重要な役割

医師のサポートだけではない、看護師の重要な役割

患者の状態を査定するフィジカルアセスメント

看護師には、「フィジカルアセスメント」という重要な役割があります。アセスメントは「査定」という意味です。患者の外観から体の状態を査定します。例えば患者が眠そうな顔をしている場合、「最近、よく眠れていますか」と声をかけ、それが睡眠不足によるものなのか、脳神経系の影響によるものなのかを判断します。もし反応がボーとしたものであれば、緊急を要するので横になってもらって血圧を測ります。このように患者を診て質問し、その答えから状態を確認し、緊急を要するものであればすぐに処置して悪化を避けるというのが、看護師が患者に対してまず行うべきことです。

正常な状態からどの程度逸脱しているかを診る

査定する場合、特に考えるのは、患者が正常な状態からどの程度逸脱しているかということです。この判断には技術が必要です。フィジカルアセスメントの中には、「視診・触診・聴診・打診」という4つの技術があります。例えば、胸部打診では音の聴こえ方から中に異物があるかどうかを判断します。もし問題があれば、内臓を調べる段階に移ります。このような処置から、状態の深刻度を調べます。患者から得た情報は、もちろん医師の診断の重要な材料になります。また、看護師の対応は患者との信頼関係を築く第一歩になります。

病気をどう受け入れるかを患者と一緒に考える

患者が求めているのは、診断と治療だけではありません。病気になると、その状態を生活の中でどう受け入れればよいのかという悩みが患者や家族に生じます。病気は簡単に治るものばかりではありません。例えば、がんを告知された時に治療法の選択を求められて患者は悩んだり、時には不安定な精神状態に陥ったりすることもあります。そんな時、患者の目線に立って相談にのったり、アドバイスを行うのも看護師の重要な役割です。医師と患者の間だけでは難しい、細やかなフォローを看護師は求められているのです。

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山口県立大学 看護栄養学部 看護学科 准教授 井上 真奈美 先生

山口県立大学 看護栄養学部 看護学科 准教授 井上 真奈美 先生

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看護学

メッセージ

私の専門は、基礎看護学と看護管理学の2つです。基礎看護学では、学生と看護技術について一緒に考えたり、実習などを通じて技術を磨いたり、あるいは思考のレベルを高めたりということを行っています。一方、看護管理学では臨床の看護の担当者、あるいは看護管理者の人々と一緒に共同研究をしています。研究室には、現場の看護師や学生などいろいろな人が訪れます。もちろん、学生は将来医療に貢献することを目標に、熱心に勉強に取り組んでいます。看護に興味のあるあなた、ぜひ一緒に学びましょう。

山口県立大学に関心を持ったあなたは

本学は、中国・四国地方の公立大学で最初に「公立大学法人山口県立大学」となり、高い学力と豊かな人間性を身につけた人材を育成し、社会へ送り出すことを最終目標にしています。この目標達成のために3学部(国際文化学部、社会福祉学部、看護栄養学部)、5学科の編成とし、学問の進展や社会の要請に的確に対応した特色ある教育研究を効果的、効率的に展開していくことをめざしています。