医療の幅広い分野で活躍する「臨床検査技師」
チーム医療の現場で欠かせない存在
病気の診断や治療に必要なデータを、正確に測定し、臨床側へ提供するのが臨床検査技師です。病院では、医師の指示に従って的確に検査を行い、得られたデータを解析します。その情報を基に、医師が病気を診断して治療方針を決め、さらに治療の効果を評価します。人体の仕組みや疾患の病因・病態、医療に関する化学的知識も豊富な臨床検査技師は、検査結果について医師とディスカッションすることがよくあります。また医師に対して、指示にはない検査の必要性を助言することもあり、医学が進歩し検査対象が多様化する現代のチーム医療において、不可欠な存在となっています。
健康診断から専門的な研究まで
臨床検査技師は、健康診断の場でも活躍しています。血液検査や心電図測定、尿検査や超音波検査など、さまざまな検査を正確かつ迅速に行い、受診者の身体的データを作成します。受診者に必要な指導をするのは医師や保健師ですが、臨床検査技師の持つ知識や技術は、病気の早期発見や生活習慣病の改善に直結する重要な役割を担っています。また、病気発症のメカニズムの研究、新薬の効果や安全性を調べる治験、PCR検査などの遺伝子検査といった、医療に関するさまざまな分野に深く関わっています。
患者さんにより近い存在をめざして
臨床検査技師は、『医師を支える裏方』というイメージがあるかもしれません。しかし単に裏方・縁の下の力持ちではなく、医療従事者の立場で患者さんと接点を持ちながら、専門性を生かした情報の発信に積極的に取り組んでいます。特に糖尿病のチーム医療においては、栄養士や薬剤師とともに現場に出向き、糖尿病患者さんの生活改善指導を行っています。糖尿病発症のメカニズム、臨床データを基にした検査の必要性、検査の数値が意味することなどを詳しく説明することで、患者さん自身の意識が変わり、検査にも治療にも前向きに取り組むようになるのです。臨床検査技師のこのような患者さんとの関わり方は、今後ますます広がることが期待されています。
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先生情報 / 大学情報
帝京大学 医療技術学部 臨床検査学科 准教授 福田 晃子 先生
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