楽しいVRリハビリは脳にも効果アリ リハビリと心理学

楽しいVRリハビリは脳にも効果アリ リハビリと心理学

スポーツのイメトレはリハビリにも応用できる

理想的な体の動きをイメージして、脳にその動きを覚えさせる「イメージトレーニング(イメトレ)」は、さまざまな研究からスポーツのトレーニングとして効果があることが証明されています。
また、障害のある人のリハビリテーションでもイメトレの効果が期待されています。例えば、脳卒中の後遺症で歩くのが不自由になった人に、自分が上手に歩く姿をイメージしてもらってから歩行訓練を行うと効果が上がるといった研究結果が報告されています。

VRで集中力&効果アップ

最近では、VR(バーチャル・リアリティ)によるリハビリが注目されています。例えば、腕を動かす訓練で患者にVRゴーグルをつけてもらい、「落ちてくる風船をタッチする」という課題を行ってもらいます。その世界に入り込むような「没入感」があることがVRの特長であり、集中することで、脳の認知機能や情報処理機能を高める効果も期待できます。
VRゲームやビデオゲームを使ったリハビリは、「楽しい」ことが大きなメリットです。誰でも楽しいことには集中できます。歩くのが難しい人が外の世界を自由に歩くなど、本当はできないことを体験できる楽しさもあります。その人の興味やレベルに合わせて内容をフレキシブルに選べる便利さもあり、発達障害児の療育にもゲームが活用されています。

「心=脳」にもアプローチする作業療法

このような研究の多くは、「心の動き=脳の活動」ととらえる認知心理学をベースにしており、脳の活動からゲーム中の集中度などをみています。以前からリハビリにおいて脳はとても重要だと考えられていましたが、最近は脳の活動を測定する技術が発展しており、研究が大きく進んでいます。
このように、リハビリは心理学や脳科学と密接にかかわっています。特に「その人がその人らしい生活を取り戻す」ことをめざす作業療法士は、体だけでなく心にもアプローチするエキスパートなのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

熊本保健科学大学 保健科学部 リハビリテーション学科 生活機能療法学専攻 講師 小手川 耕平 先生

熊本保健科学大学 保健科学部 リハビリテーション学科 生活機能療法学専攻 講師 小手川 耕平 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

作業療法学、認知心理学、実験心理学

メッセージ

私は作業療法士の勉強をする中で脳の働きに興味を持ち、認知心理学・実験心理学の視点や知識を生かしながら、一人ひとりに合ったリハビリの方法を探っています。人は自分が興味を持てる課題に積極的に取り組みます。ぜひ高校や大学で好きなことをみつけてください。寝ること、遊ぶことでもOKです。進路を決める手がかりになると思います。そして「人」に興味があるなら、ぜひ作業療法士の道へ! 不安やつらい気持ちを聞くことも含め、人の心に親身になってかかわることができる、すばらしい仕事です。

熊本保健科学大学に関心を持ったあなたは

「生きる」をひらく、かけがえのない一人に
熊本保健科学大学では、医学検査、看護、リハビリテーションの3つの学科で最先端の専門知識と技術を修得するとともに、学科間の連携によりチームスタッフにふさわしい知性と教養を身に付けます。また、医療の多様化と変化に対応しながら、患者さんのQOL(Quality of Life:生活と人生の質)にも配慮できる優れた医療人を目指します。