人間の24時間をサポートする作業療法士
理学療法士と作業療法士
身体障がい者のリハビリテーションなどに関わる職種として、「理学療法士」と「作業療法士」の2つがあります。理学療法とは、筋力トレーニングなど医療的なアプローチを通じて身体機能の回復を図るものであるのに対して、作業療法とは、日常生活の作業をできるようにすることで回復を図るとともに、精神的にもケアをすることだと言えます。そして「作業」とは、人間の活動のすべてを指します。仕事はもちろん、遊びや休息に関する活動もすべて作業の一種です。つまり、人間の24時間の生活すべてをサポートする必要があるのです。マラソンランナーの伴走者のような存在と言ってもいいでしょう。
作業療法士の持ついろいろな役割
特定の作業が困難な障がいのある人は、その作業ができるようになることで身体機能が回復するだけでなく、幸福感を得ることができ、生活の質(QOL)を向上させることができます。
しかし作業療法士が関わるのは、実は障がい者だけではありません。予防を考えるという役割もあるので、特別な疾患をもたない人に関わる場合もあります。作業療法では、対象となる人を訓練し作業を可能とする方法だけでなく、どのような環境でどのような道具があれば可能になるのか、どのような社会制度があれば可能になるのかなど、対象者の環境全体を考えていく必要があります。そのお手伝いをするのが作業療法士なのです。
広がりつつある作業療法士の進路
作業療法士の進路としては、これまでは病院や福祉施設などが主な就職先でしたが、役所や一般企業でも作業療法士が必要とされるケースが増えてきています。役所では、障がい者用の補助具の選定や、障がいのある住民の相談窓口の担当などです。一般企業では、例えば障がい者も運転できる自動車の開発など、さまざまな分野で作業療法の考え方が求められるようになってきています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
東京都立大学 健康福祉学部 作業療法学科 准教授 井上 薫 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
作業療法学先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?